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【知りたい!】~前編~『新型栄養失調』について管理栄養士の先生に聞いてみた◎

執筆者

管理栄養士 大屋佳奈 (おおや かな)

給食管理の仕事を主軸に特定保健指導やレシピ開発、国家試験対策についての情報発信、学生相談、料理教室アシスタント、コラム執筆など多岐にわたり活動中。また、イラストレーター・動画クリエイターとしても活動の幅を広げている。

こんにちは!年を重ねることに抗うことなく、いつまでも自然な美しさを保つために、今回も引き続き美容寿命に関わるお話していきたいと思います。

今回のコラムでは現代人が陥りやすいとされている『新型栄養失調』についてお話し致します。

食事はしっかり食べているはずなのに疲れやすい、胃腸や肌の調子が悪い、気持ちが不安定ですっきりしない時が多い…そんな悩みを抱えていらっしゃる方は、もしかしたらこの新型栄養失調が原因となってしまっているかもしれません。

新型栄養失調とは何なのか、どうすれば予防できるのか、詳しくお話していきたいと思います。

新型栄養失調とは?

皆さんは『栄養失調』というワードを聞いた時、どんな状態を思い浮かべますか?

多くの方は経済的な問題や食糧問題、病気など様々な理由によって十分な食事を摂ることができず、身体が痩せ細り弱弱しくなってしまった状態を思い浮かべるでしょう。

しかし、近年問題となっている『新型栄養失調』は従来の栄養失調とは違い、摂取カロリーが十分に足りているにも関わらずたんぱく質やビタミン、ミネラルなど身体にとって必要不可欠な栄養成分の不足が原因で引き起こされている状態の事をいいます。

一体どういうことなのか、その原因は「極端に偏った食事による栄養素の不足」にあります。

新型栄養失調の陥りやすい食習慣

新型栄養失調に特に気を付けて頂きたいのは『働く世代(ミドル世代)』の方々です。

現役社会でバリバリ仕事をこなす働き盛りの20代~60代くらいまでの方々が新型栄養失調に陥りやすい食習慣とはどんな食習慣でしょうか?

それは、仕事の忙しさゆえついつい食事を抜いてしまったり、簡単に手っ取り早く腹を満たしやすいものばかりを食べてしまったり、という食習慣です。

単身赴任や独り暮らしの方で、こんな食事になってしまっている方はいらっしゃいませんか??

・外食やお惣菜、お弁当などで同じものばかり食べている
・カップラーメンやスナック菓子、菓子パンなどで済ませてしまう
・丼物、うどん、ラーメンのみといった炭水化物のみの食事になっている

このような食事ではカロリーだけはしっかり満たされているのに、野菜不足や食べる食品・食品群が偏ることで身体にとって必要な栄養が十分に摂取できていません。

これが新型栄養失調を招く大きな原因のひとつです。

このような食事を続けてしまうと…

・カロリー過多
・たんぱく質不足
・ビタミン・ミネラル不足

という事態になりかねません。

必要な栄養は足りないのにカロリーだけはしっかり摂れている、または適正カロリーをオーバーした食事をしているため、ミドル世代の新型栄養失調には肥満気味の方が少なくないというのが特徴です。

ところが最近では、新型栄養失調のリスクはミドル世代の方だけではなく、10~20代の若い女性の間でも心配されています。

その若い女性が栄養障害となるケースの多くは、自己流でのダイエットによる食事制限のほか、間食を中心とした不規則な食生活、ミドル世代と同じく弁当や総菜、ファストフードへの偏りなどが原因といわれています。

新型栄養失調の症状

新型栄養失調は、身体に必要な栄養素が不足することで様々な症状を引き起こしてしまいます。

新型栄養失調の症状として、

・たんぱく質不足
免疫力低下、筋肉量低下による低体温

・ビタミンやミネラル不足
太りやすい身体(代謝不良やホルモンバランス・自律神経の乱れなど)、
肌荒れやむくみなどの肌トラブル、
気分の浮き沈みが激しくイライラすることが増える

などといったものが挙げられます。

日頃の栄養バランスが偏っていて、上記のような症状がある人は新型栄養失調の可能性があります。

新型栄養失調で不足しやすい栄養成分にはどのようなものがあるのか、次のトピックで詳しくみていきましょう!

新型栄養失調で不足しやすい栄養

たんぱく質

ダイエット目的でコレステロールや中性脂肪を控えるために肉類などを控える頻度が多いとたんぱく質が不足する場合があります。

たんぱく質は、細胞や筋肉、臓器、髪の毛や皮膚などをつくる大切な材料です。

たんぱく質不足で筋肉量が減少すると太りやすい体質になってしまったり、肌荒れや髪のパサつきなどの原因となり美容寿命を縮めてしまいます。

新型栄養失調のなかでも、タンパク質不足が招く影響はとても大きいです。

これを防ぐためには、肉だけでなく魚や大豆製品などをしっかり取ることが大切です。

ビタミンA

ビタミンAは鼻や喉、肺などの粘膜の材料となり、ウィルスや細菌の侵入を防いでくれます。ビタミンAは目の健康維持にも関わっており、ビタミンAが不足してしまうと暗い場所で目が見えにくくなる夜盲症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

ビタミンAは脂溶性のビタミンなので、油と一緒に取ると吸収率が高くなります。

ビタミンAを多く含む野菜にはニンジンやほうれん草などの緑黄色野菜が挙げられます。

油と一緒に食べられるように炒め物に入れるなど食べ方を工夫することでビタミンAをより多く吸収することができます。

また、野菜を生のままやボイルで食べた時と油と一緒に食べた時と比べると、吸収率は8~10倍も異なるとされています。そのため、ノンオイルドレッシングを使った生野菜サラダや温野菜ばかりでは、せっかく野菜を食べていてもビタミンAを損していることになります。

緑黄色野菜の他にも豚や鶏のレバーなどの動物性食品にもビタミンAが多く含まれています。

動物性食品、植物性食品のどちらかに偏らないようにすることが大切です。

ビタミンB₁

ビタミンB₁は、炭水化物をエネルギーに変えるときに必要なビタミンです。

更に、運動をした際に疲れやだるさの原因となる乳酸を分解してエネルギーに変えるはたらきを助けています。

ビタミンB₁が不足するとイライラやストレスを感じたり、疲れやすさを感じたりむくみの原因となったりします。

ビタミンB1が豊富な食材は豚肉や大豆などです。

玄米にも多く含まれているので、白米を玄米に変えることもお勧めです

カルシウム

カルシウムは骨や歯の材料となります。

私たちの骨は細胞と同じで、絶えず作り直されています。

カルシウムが不足することで骨や歯がもろくなってしまい、将来骨折などのリスクが高くなってしまいます。

また、カルシウムは骨や歯の材料となるだけでなく、心臓などの筋肉が正常に収縮させるための機能を保つはたらきや、神経を安定させてイライラを解消させるはたらきがあります。

カルシウムを多く含む食品と言えば牛乳やチーズなどの乳製品を思い浮かべる方が多いと思います。実は、煮干しや小魚、ひじきなどの海藻類、小松菜・水菜などの野菜類、豆腐だのの大豆製品にも含まれています。

食品に含まれるカルシウムの吸収効率を上げるために相性の良い栄養成分に、『ビタミンD』と『ビタミンK』があります。

ビタミンDの豊富なキノコ類、ビタミンKの豊富な納豆・チーズと組み合わせて食べると良いです。

マグネシウム

カルシウムと同様に不足しやすいミネラルにマグネシウムがあります。

マグネシウムは身体の中でエネルギーを作ったり、体温調節、神経伝達、ホルモンの分泌などのはたらきに関わっています。

マグネシウムが不足すると、抑うつ症、狭心症、心筋梗塞などの心臓の病気にかるリスクが高くなるといわれています。

マグネシウムは普段食べている白米を玄米に変えたりパンを全粒粉のものに変えると日常的に摂取することができるのでお勧めです。

前編はここまで!

後編は『新型栄養失調にならないための食習慣』のお話から再開させていただきますね!

後編につづく

こちらのコラムを執筆いただきました『絵を描く管理栄養士』として活動中の大屋先生についてはコチラからもご確認いただけます。

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