執筆者
管理栄養士 大屋佳奈 (おおや かな)
給食管理の仕事を主軸に特定保健指導やレシピ開発、国家試験対策についての情報発信、学生相談、料理教室アシスタント、コラム執筆など多岐にわたり活動中。また、イラストレーター・動画クリエイターとしても活動の幅を広げている。
こんにちは!
今回は大豆イソフラボンについてお話させていただきたいと思っているのですが、その前に…
女性の方へ質問です。
今生理がある方、いきなりですが生理は1ヶ月に1回、定期的に来ていますか?
また、閉経を迎えられた方、最近疲れやすくなった・身体が火照る・イライラすることが増えたなど、そんな症状はありませんか?
「私、定期的な周期で生理来ていないかも…」
「閉経後、確かに身体に不調が起きている気がする…」
そう思われた方…
それはエストロゲンという女性ホルモンの乱れで起きている可能性があります。ここでいうホルモンの乱れとはホルモンの分泌が十分にできていないことを意味します。
女性ホルモンやエストロゲンという言葉は知っているけれど、身体の中で何をしているのかわからないという方が多いと思います。
今回はそんな女性ホルモンの1つであるエストロゲンについて、またエストロゲンの乱れからくる身体的不調の改善が期待されている大豆イソフラボンという栄養成分についてお話していきたいと思います。
エストロゲンってなに?
女性ホルモンには大きく分けてエストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。
※今回はプロゲステロンについての説明は割愛させていただきます。
エストロゲンは女性の生理、妊娠、出産はもちろん、髪や肌のツヤやハリ、美しさを保つのに関わるとても大切なホルモンです。
また、エストロゲンはカルシウムの吸収を促して骨を守る働きもしてくれています。
このエストロゲンは主に卵巣から分泌されており、分泌が十分に行われていないと生理不順や自律神経の乱れ、骨の密度が低下して骨折しやすい状態になってしまう骨粗鬆症の原因になります。
女性のライフステージ別に見たエストロゲン分泌量
こちらは女性のライフステージごとにエストロゲンの分泌量を示したイラストです。
エストロゲンの分泌量は、思春期~性成熟期を過ぎると、個人差はありますがだんだんと減少していきます。
特に更年期に当たる50代ごろに生理が終了する「閉経」が起こりますが、その閉経をきっかけにエストロゲンの分泌が顕著に減少していきます。
このエストロゲンの分泌量低下に伴って身体のほてりやうつ症状など、心身に起こる様々な不調を更年期症状といいます。
心身に影響を及ぼすのは更年期のみに限るお話ではありません。
生理が始まる思春期から女性として様々な機能が成熟する性成熟期の間にエストロゲンの乱れが起こっていると、個人差がかなりありますが身体や心に様々な影響を及ぼします。
具体的に例を挙げると…
・生理が周期的に来なくなる月経不順
・生理前に下痢や腹痛などといった体調不良
・精神的に不安定な症状に見舞われるPMS(月経前症候群)
・日常生活に支障をきたすほどの強い腹痛が起こる月経困難症
など
これらは不妊につながるリスクになってきます。
エストロゲンが乱れる主な原因として挙げられるのがストレスや生活習慣の乱れなどです。中には卵巣の病気で起きている可能性もあります。
生理や更年期症状に関する悩みはなかなか家族や友人にも相談しにくいですよね。
ご自身の今に少しでも違和感がある方もそうでない方も、ここでセルフチェックをしてみましょう!
セルフ更年期症状チェック
以下の項目で当てはまる項目があればチェックしてみてください。
□ 身体が火照る
□ 汗をかきやすい
□ 寝つきが悪い
□ 夜中に目を覚ましやすい
□ すぐにイライラする
□ いつも不安感がある
□ 胸がドキドキする
□ 憂鬱なことが多い
□ 疲れやすい
□ 頭痛がある
□ 首や肩がこる
□ 腰や手足が冷える
(参考:日本産婦人科学会 日本女性の更年期症状評価表)
セルフPMSチェック
過去3回の月経周期前5日間に、下記の心・身体の症状で、月経開始後4日以内に消失し13日目まで再発しない項目があればチェックしてみてください。
【精神的症状】
□ 抑うつ
□ 怒りの爆発
□ いらだち
□ 不安
□ 混乱
□ 社会からのひきこもり
【身体的症状】
□ 乳房が張る
□ お腹が張っている
□ 頭痛
□ 関節痛、筋肉痛
□ 体重増加
□ 手足の張り、むくみ
(参考:PMSの診断基準(ACOG A Resource manual, forth edition)2014 PMS, PMDDの診断と治療より)
※本チェックは医学的な診断を行うものではありません。あくまで参考とし自分1人で完結せず、症状についてはお医者様にご相談ください。
いかかでしたか?
セルフ更年期症状チェックでは項目のうち当てはまるものが多いほど「更年期の症状がひどい」ということになります。
セルフPMSチェックでは項目のうち、1つでも当てはまった方はPMSの可能性があります。
今皆さんにチェックしていただいた更年期症状やPMSの症状に対しては、主に病院でホルモン薬を処方してもらったり、漢方や食事(サプリメントを含む)でのセルフケアで症状緩和を目指します。
この記事を書かせて頂いている私自身も大学生の頃から徐々に月経困難症による腹痛の症状が酷くなり、婦人科で診て頂いたところ子宮後屈(※1)という少し珍しい子宮をしていた影響で子宮内膜症という婦人病になりかけていました。
現在はホルモン薬を処方して頂いており、症状もほとんどなく妊娠にも影響ないとのことで安心しています。
余談になってしまいましたが、月経困難症に限らずこのように症状があまりにも酷く、私生活にも影響しているという方は婦人病になってしまっている、またはなりかけているかもしれません。
発見や治療が遅れると将来不妊や子宮筋腫といったさらに恐ろしい病気になってしまう恐れがあるので、決して1人では悩まず、お医者様に相談することをおすすめします。
ここまでで女性の身体や心にエストロゲンが深く関係していることを理解して頂けたかと思います。
エストロゲンの乱れの改善方法としましては、先ほども述べました通り病院でホルモン薬を処方してもらったり、漢方や食事(サプリメントを含む)でのセルフケアで症状緩和を目指すことが一般的です。
次の項目からはその中でも普段の食事で簡単にできる栄養成分でのセルフケアについて、後編にてお話していきたいと思います。
今回おすすめしたい栄養成分は、食事から簡単に摂取ができて、エストロゲンの乱れによる更年期症状やPMSなどの症状緩和が期待できる大豆イソフラボンという栄養成分です。
(※1 子宮後屈:通常子宮は、お腹側に傾いた状態(子宮前屈)をしていますが、稀に背中側に傾いているものを子宮後屈と言います。病気ではなく、女性の20%は子宮後屈であると言われています。)