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「健康でなければ美しくなれない」子宮がん克服から内面美容を目指した美容室へ

今回は美容室 Fortuna(フォルトゥーナ)の春原(すのはら)寿江さんにインタビュー。

春原さんは「健康でなければ美しくなれない」を持論とするほど、内面美容に力を入れた美容室を展開されていますが、そこには裏話が隠れていました。

30代で子宮がんを煩い、生死をさまよう経験もされています。病気をきっかけにどのように変わってきたのか、その真相に迫ってみましょう。

◆一瞬で人の気持ちを変えられる仕事

― 美容師になろうと決めたのはいつごろでしょうか?

私は中学校から体育会系の学校に進学し、高校も自分で選択したわけでは無く、大学もその流れで日本体育大学へ進学を予定していたぐらい、美容とは縁遠い学生生活を過ごしていました。

当時の私の髪はストレートで柔らかく、どこの美容室に行っても自分の思うようにはならず、美容室が大嫌いで美容に対しても魅力を感じることはありませんでした。

しかし、高校生の大会が終了したころに親友の知人が美容師という縁から、その人が働いている美容室へ行きまして、その美容師へ初めてパーマをお願いしたところ、自分が思っていたような髪型にしてもらえたのです。

一瞬で人の気持ちを変えられる仕事はすごいなと思い、私は美容師に興味を持つようになりました。

母は私を大学へ入学させるのが夢だったようで、美容師に対する想いを告げてから一週間ぐらい口をきいてくれなくて、父は手に職を付けた方が良いと考えていたようで喜んでくれました。

カットの技術は見ず知らずの世界でしたが、元々追求心や探求心が強いタイプなので、気が付いた時には美容を追求していました。もうトップになってやろうと。一番でないと嫌な性格ですから。

― 美容師になられた当時はどのようなことを考えていましたか?

若さがありましたので、とにかく一刻でも早くスタイリストになることしか考えていませんでした。

28歳でお店を開業したのですが、当時のコンセプトが「トータルビューティーサロン」としていました。

頭だけではなくメイクも必須とし、お客様のトータルバランスを考慮した上で、ダイエット予想値をすべてプロデュースできればというのを目標としていました。

しかし32歳の時に、私は子宮がんを患うことになってしまうのです。

◆中村天風の本から考え方の根本が変わる

春原さんは子宮がんを患い、入院生活を余儀なくされます。

時間を持て余していた春原さんは、以前に購入していた中村天風の本を読むことにしました。

そして思いもよらない変化が春原さんの心の中で宿るのです。

― 子宮がんに罹ってしまい大変でしたね?

母が子宮がんで亡くなり、その3か月後に私も子宮がんにかかりました。

ステージは1・2ぐらいでしたが、子宮と右の卵巣を全部摘出する必要があり、若いのでがんの進行も早くて、経営者になったばかりで娘もいましたから、今ここで死ぬわけにはいかないと強く思っていました。

医者からも「このタイミングで手術をしないと責任は持てない」と宣告されて手術の決断をしたものの、予断は許されませんでした。

23年前はがんに罹ると死亡する確率も高いと言われていましたが、母の時に子宮がんを経験していましたので、がんに対する怖さはそれほどありませんでした。

しかし、いざ「がん」を宣告されてしまうと目の前が真っ暗という状況でした。万が一のことがあってはいけませんので、美容師をしている弟に「何かあった時は頼みます」と話をしたこと以外は、誰にも話さず手術を受けていました。

家族にがんのことを明かしたのは手術から10年経過してからで、医者にも「絶対に言わないでほしい」と頼んでいました。

― 病気をしたことが大きな分岐点になりましたか?

そうですね。改めて健康は重要だなと感じ、病気になってからは内面美容にこだわりを持ち始めました。

この転換に関しては、もう波乱万丈としか言いようが無いです。

決定的に思想が変わった瞬間は、中村天風の本を2冊読んだことです。

働き始めてから1か月も休んだ経験がありませんでしたので、とにかく暇で仕方がありませんでした。

以前に購入をしていましたが読む機会がありませんで、このタイミングで読む決断をしました。

― 中村天風の本を読んでどのように思想が変わりましたでしょうか?

一番は精神的な部分で考え方の根本が変わりました。まだ起きていないことを考えなくてもよいということです。

例えば、まだ火事になっていないのに、火事になったらどうしようと考えるのではなく、火事になってからどうすればよいのかを考えればよいのです。

起こってもないことを事前から心配し無駄な時間を過ごすのではなく、起こってから先に進めば良いと思うように変化しました。

中村天風の本を読むまでは不安の方が強かったです。お店も出したばかりでこれからという時期で、もうこれで終わりかなと感じていました。

だから、このタイミングが衝撃的で本当に頭が切り替わりました。

◆美容師人生をかけたコンテストに出場し優勝

こうして春原さんは子宮がんを克服したことで、再び美容師としてのチャレンジを始めていきます。

そして、自分の実力を試す機会が訪れることになります。

― 精神が変わっていく中で体とどういう風に向き合っていきましたか?

本を読んでからは自分で体を治す自信がありましたし、必ず治して見せるという気持ちでした。

私は子宮がんを克服したことでターニングポイントを迎えたのです。

そして、美容師人生をかけて「シューウエムラ」というコンテストに出場をする決意をしました。

― 勝負にでましたね?

当時は女性が仕事をしていることに対して、絶対に応援をしてもらえませんでした。

むしろ悪いことばかり言われて。味方が誰もいない中で、私はシュウウエムラアートセッションのコンテストで賞を獲得できなければ、美容師としてこれまで培ってきたことに対して、世間からも認められていないということですので、この業界から離れて母親に専念するしかないと考えていました。

しかし、私には美容師を辞めたくないという気持ちも強くあり、何としても賞を獲得しようという意欲もありました。

― シュウウエムラアートセッションのコンテスト、結果はいかがでしたか?

なんとグランプリと特別賞を獲得してしまったのです。

コンテスト当日は、私の美容師人生最後になるかもしれないということで、長年仕事をともにしたカメラマンやスタッフ、そして服を作ってくれたダンサーも駆けつけてくれました。

グランプリ発表前で一度ステージ裏に下がり、エントリーナンバー順に待っていたのです。

私は特別賞を受賞していましたのでほっとしていたところ、突然周りから「呼ばれているよ」と声をかけられてびっくりしてしまい、その様子がモニターでも映し出され、すごく恥ずかしいと思いながらステージに戻っていきました。

この瞬間、神様から「美容師をやりなさい」と言われているなと。私は美容師を一生の仕事にしていこうと決めたのです。

― 運命が連続して起こりましたね

はい、本当に起こりました。明日は無いと思いながら、頑張って結果を出せることができました。

このようにできたのは病気のおかげで、周りやあらゆるものから初めて気持ちを感じました。

私にそれぐらいの試練を与えないと考え方を変えることはないと神様から思われていた気がします。

もう生かせてもらっているようなもので、次は人のために生きようと決めました。まるで嘘みたいな話ですが(苦笑)。

― 一連の出来事からお客さんに対する姿勢とかいかがでしょうか?

この瞬間からお客様に対するスタンスは変えていません。私は全身全霊でその人をきれいにすることしか考えていないです。

美容師はずっと同じ人と関われるので、そうすると顔色が悪いとか、元気がないとかわかるようになってきます。

だから、医者よりも美容師の方がお客様の体調変化に気付きやすいはずなのです。

お客様からも美容師に言われてから病院へ行くと「美容師と同じように言われた」と話してくれて感謝をされました。特に痴呆症は美容師が一番わかると思います。

しかし、それを家族が認めないのです。私自身は言わないと気が済まない性格なので、お客様にもきちんと言っています。同じことを言っていても全体に違和感がありますし、うつ病の人は目に違いが出ます。

◆子宮がんを克服して得た健康観「美容と医療をつなげたい」

春原さんは美容師人生をかけたチャレンジをし、グランプリという結果を残しました。

そして、改めて健康について意識を高めていきます。今度は春原さんの健康観から話を進めてみましょう。

― 春原さんは健康に対して心掛けていることはありますか?

とにかくやりたいことをすることです。

病気になって以来、カロリー計算をしてダイエットをしようなんて、一切考えないようになりました。

そんなことよりも大事なことは、食べたいものを食べる、笑いたいときに笑う、泣きたいときに泣く、後回しにしないことです。

毎日が大事で、以前よりもアクティブになりました。

いつも時間がないと思い、無駄な時間を絶対に過ごしたくないと考えるようになりました。時間の無駄は未だに大嫌いです。

― 仕事が楽しいという気持ちもありますか?

仕事をしていて、人に喜んでもらえるのはすごく楽しいです。

母が亡くなるまでは、母に喜んでもらえるために仕事をしていたのかと、母を亡くしてから気づきました。

そして、母が亡くなった時は仕事をする気になれませんでした。

誰かのために人間は生きているのかなとすごく感じて、自分のためだけではないと思いました。

私は病気をするまで、すごく嫌な奴だったかもしれません。

自分のことしか考えていませんでしたし、職人気質で人を踏み台にしてまで上り詰めるという気持ちで仕事と向き合っていました。

― 美容寿命という言葉を聞いてどのように感じますか?

美容師には髪の毛を中心とした外面を重視するタイプ、私のようにその人そのものをプロデュースするタイプに分かれると思っています。

健康でなければ美しくなれないというのが私の考え方で、サプリメントアドバイザーの資格を取得しました。

調子が悪い人、寝不足や目の悪い人は全て頭皮にでます。頭は足と同じくツボがたくさんありますので、毒素を抜くのは頭もしくは足になります。

日本人は調子が悪い時など何かあった時に医者へ行きますが、欧米では医者に行く前からケアをしていますので、サプリメントの知識はすごいですし、ドラッグストアでも多くの種類のサプリメントが販売されています。欧米ではファストフードが多いためサプリメントが広まっています。近年、日本でも食文化が欧米化し、サプリメントは絶対的に必要な存在となってきました。

年齢が上がるにつれて、同じものを食べていると吸収率が下がってきますのでサプリメントは必要です。私としてはサプリメントを通してお客さんのベースづくりをお手伝いし、お客さんにとってプラスへなるようにすることです。

そのためには新しい商品を見つけた段階で、私が実験台となり効果が出れば提供します。サプリメントアドバイザーはお客さんをケアするために取得したのであって、自分のためには取得していません。

若いころから技術の勉強に多くの時間を費やしました。年齢も重ねて経験値が多くありますが、健康面は自分で勉強や体感をすることが必要だと考えています。美容と医療をつなげたいという思いは強いですから。

◆お客様から信用をしてもらうことが大事

春原さんは医療と美容をつなげる想いで、様々な出会いを叶えていきます。

改めて美容師としてのおしゃれについて語っていただきました。

― お客様と向き合う中で最も重要視しているところはどこでしょうか?

まずは自分を信用してもらうことが一番です。

私はイタリアが誇る美容界の巨匠アルド・コッポラのカット技術をベースにしています。

床屋の免許も取得し、ヴィダル・サスーンの技術もマレーシア在住の先生から学ぶなど、海外のカット技術も勉強してきた中で、もっとこうであればと私なりに考えていました。

日本人の髪に動きをつけたいという想いがありましたので、アルド・コッポラのカット技術がフィットしたのです。

今回のコロナ禍で2か月から3か月も美容室に行けなかったお客様から「カットできなくても意外と平気だったよ」と言われて、カットをすごく認めていただきました。

― お客様からこのようにしてほしいと言われることがありますか?

私から髪型を提案することが多いです。

雰囲気を把握できれば、その後はお客さんに合わせれば良いだけなので、そういう部分はスタイリストの技量だと思います。

お客様からパーマと言われてもカットでできると思えば、信用してもらうためにカットだけで帰す場合もあります。

多少の凝っているカットであれば、ある程度の形ができますので、カット技術を見てもらって信頼関係を築いていきます。

ここから信用をしてもらえないと、次のステップに行くこともできません。信じてもらえるまで、しっかりコンタクトを取っていくことが自分のやり方です。

― 技術を示しながら、会話から微調整をしていくということですか?

もちろんです。お客様の思い通りにならなければ、お金も要らないです。正面からきちんとぶつかって、しっかり話し合いができれば大丈夫です。

今日いらしたお客様も、ありとあらゆる美容室に行かれたそうですが「ここのカットが一番うまい」と褒めていただき、2回目の来店でパーマとカラーもすべて任せていただきました。やっぱり信頼関係は重要です。

― 多くの方が美容室を決められなく悩んでいると聞きますね

この美容室は新しいので、そのような方ばかりです。美容師としては疲れますし、すごく難しいです。

長野は20年来のお客さんが多くて励まし合いながらやっていますし、スタッフの教育もしてくださるのですごく助かっています。

そういうこともあって、私は長野のお客さんから離れることはしないし、もう感謝の気持ちしかありません。

しかし、銀座のお客様は多くの失敗を経験されている方が多いのですごく難しいです。まずは信用してもらわないといけないため、そこが一番大変です。

― おしゃれでお客様に気を配っているところはありますか?

髪型は絶対に似合わせます。

それから、事前にこんな仕上がりになることを説明しています。良いことも悪いことも先に言っておかなければ、後から言っても通用はしません。

もし、1回でできない場合は先に言っておきます。

ホップ・ステップ・ジャンプと、今はホップだからあと2回チャンスをほしいと、先に言っておくことで信用が頂けると考えています。

― お客様の性格も事前にチェックしますか?

長年美容師していますので、経験値ですね。毎日の積み重ねですから、相性はあると思います。

私はバタバタと作業することが多くて、手が速いです。

私のモットーは「無駄な時間を過ごさせない、1分でも早く帰す」ことです。時間をかければ良いという美容師もいますが、それは違うと思っています。

もし時間がかかる場合は、あらかじめ言っておきます。それぞれ時間があると思いますから。

― カットするときはひたすらカットですか?

いや、会話はします。話をしながら手が動きますので、これは訓練だと思います。

話をしながら手が動かなくなる人もいますが、もうスピード重視です。

ヘッドスパとかはゆっくりやってほしいので、私でないほうが良いですね。

リラクゼーションはゆっくり過ごしてもらえるためのものですから。

― 美容室の選び方はどこに着眼点を置くべきでしょうか?

その人の目的でしょう。

流行の髪型にしたいのか、デザイン重視なのか、髪の毛を大事にしたいのか、頭皮が弱い、アトピーやアレルギーがあるならオーガニック的なところが良いと思います。

美容師もいろんなタイプがいますから。

― 選ぶ側からは見た目や差別化がわからないという声もあります。

今日来られた方に「なぜここを選んだのか」を聞いてみたところ、”女性だけ”とか”こだわりがある”と絞った時に、この美容室が検索で引っかかったそうです。

美容室 Fortunaはすごくこだわっています。水をはじめとして、こちらで取り扱っている商品はすべてオリジナルです。

私自身がいろんな箇所でかぶれたりしているので、様々な商品を試した上でお客様に提供をしています。

これらの商品によって、かぶれに関してはすべて解決しました。美白効果や水分補給、しわ伸ばしなどの商品を入れていますので、改善されないと意味がないと思っています。

特に水は一番こだわっていて、薬剤の中に入れる水やお客様に出す水などが該当します。

人間の体は7割が水ですから、きれいな水を入れておかなければなりません。

水には結晶があって、ありがとうと書いた紙の上に置くだけでも変わります。水は情報を受け取りますので、きれいにしようと思っている人は情報を伝達する必要がありますから。

【取材後記】

「健康でなければ美しくなれない」と持論を展開された春原さん。

子宮がんで入院中の時に中村天風さんの本を読み込み、考え方の根本が変わったことで自分よりも人のために生きる決断をしました。

美容師としても、その人そのものをプロデュースする内面美容を目指すスタイルに転じ、健康と医療をつなげるために、水をはじめとした様々な商品も取り扱っています。

技術においても、イタリア人美容師のカット技術をベースとしてお客様と向き合っていました。

「まず信用してもらうことが大事」とお客様に似合った髪型を追求することも忘れていません。

自身が経験した病気を克服したからこそ、健康を意識した美容師としてこれからも活躍をしていただきたいですね。

fortuna(フォルトゥーナ) 店舗情報

Address:東京都中央区銀座6-7-8 フロンティアビルB1F
Tell:03-6264-5010
Official Web site:https://fortuna-g.com/

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