執筆者
管理栄養士 大屋佳奈 (おおや かな)
給食管理の仕事を主軸に特定保健指導やレシピ開発、国家試験対策についての情報発信、学生相談、料理教室アシスタント、コラム執筆など多岐にわたり活動中。また、イラストレーター・動画クリエイターとしても活動の幅を広げている。
納豆さえ食べていれば健康??
納豆について詳しくなった皆さん、
『なんだ!納豆にこれだけ身体に良い栄養成分が入っているんだったら、日々の献立に納豆さえプラスさせていれば健康間違いなし!』…なんて思ったりしていませんか?
確かに納豆には健康に欠かせない栄養成分が豊富に含まれています。しかし極端な言い方をしますが、納豆を献立に加えるだけ、納豆のみを食べているだけでは健康にはなれません。
ダイエットしかり健康維持のための情報が飽和している昨今、『○○だけダイエット!』や『○○を食べれば健康に!』といった、あたかもその一食品さえ食べていれば大丈夫と勘違いしてしまいそうな謳い文句に流されていませんか?
ダイエットや健康を目的としていなくても、例えば日々の生活で夜食べると太るから野菜だけとか、お昼はいつもおにぎりだけ、あるいは菓子パンだけ、朝食もパンとコーヒーだけ、などなど、『○○だけ食べる』ことをしている方は要注意です!
いくら1日3食の食事をしていても、「〇〇だけ」「〇〇抜き」のような偏食はビタミンやミネラル、たんぱく質など様々な栄養素が不足してしまうため、バランスの良い食事が大切になります。
栄養バランスのとれた食事とは、ごはんなど穀類の「主食」を基本に、肉や魚、卵、大豆・大豆製品などのたんぱく質主体のおかずとなる「主菜」、たっぷりの野菜、きのこ、海藻などの「副菜」、そして「汁物」を組み合わせた和定食が理想的です。
実際にバランスの悪い食事例とバランスの良い食事例を見てみましょう!
今回紹介している納豆ですが、納豆は大豆製品にあたります。
大豆製品はお肉やお魚と同じポジションになるため主菜にあたる食材となります。
そのため、献立の中で既にお肉や魚など主菜となるおかずが存在しているのに納豆を追加してしまうとおかずが多い状態になってしまいます。
納豆を献立に加える際は、調理要らずなので、朝ご飯の主菜として食べたり、昼食や夕食で食べたい場合はお肉や魚の量を少し減らす、または納豆に置き換えたりすると食べすぎを防ぐことができます。
また、毎日似たような食材ばかりを食べるのではなく、様々な食品から栄養を摂取することも大切です。栄養素と身体の関係は、実はここでは書ききれないほど複雑で奥の深いものです。
例えば、ひとくくりにたんぱく質といっても実際はたんぱく質の中にもっと細かく分かれた様々な種類のたんぱく質があったり、ビタミンにも植物性食品から摂取するか動物性食品から摂取するか、食材同士の組み合わせや調理法などで吸収率や効果が変化したりします。
「○○によい」食品も、質と量のバランスが大切です。「血圧を下げる効果が期待できる」など、ある効果のみがクローズアップされている食品など様々ありますが、それらの食品も一長一短です。
なんでも食べすぎは良くありません。1日あたり「なにを」「どのくらい」食べたらよいのか、目安量と実際に食べている量を確認して、食事をより良く整えていきましょう!
1日あたり「なにを」「どのくらい」食べたらよいのかなんて言われても1回あたりの食事量の基準とかがないとわからないよ!…と思われた方!
簡単に自分に合う食事の適正量を把握できる方法をお伝えします!
なにも道具は必要ありません。ご自身の手を見てください!
1回あたりの食事量の目安
主食の目安は握りこぶし1個分
主菜の目安は手のひら1枚分(やや多めに!)
副菜の目安はたっぷり両手1杯分
…いかがでしょうか?わかりやすいですよね!!
こちらに加えて、1日トータルで食べると良いものとして
果物を片手の手のひらに収まる程度
乳製品をコップ1杯分
などがあります。
こちらはあくまで目安です。個人の詳しい摂取量は性別や疾患などで変わってきます。
持病のある方などはかかりつけの医師や管理栄養士の指導に従ってください。
おすすめレシピ
納豆は調理なしでそのまま食べられるのが利点の一つなのですが、追加で食材や調味料を加えることで栄養価もアップさせることができます。
今回は朝食のメイン(主菜)として私が良く食べているおススメ納豆アレンジレシピをご紹介いたします!
ワサビ香るじゃこ納豆
◇材料(1人前)
〇納豆 1パック
〇ちりめんじゃこ 5g(大さじ1)
〇大葉 1~2枚(お好みで)
〇ゴマ 小さじ1
〇めんつゆ(2倍濃縮) 小さじ1/2
〇ゴマ油 小さじ1/2
〇わさび お好みの量
・こねぎ 少々
・鰹節 お好みの量
作り方
①大葉は水で洗い千切りにする。
②ボウルに〇の食材と調味料を全部入れて混ぜる。
③お皿に盛り、こねぎと鰹節をかけたら完成。
混ぜるだけでとってもお手軽ですが、納豆と相性の良い食材がたくさん入っている一品です。
例えば、大葉には殺菌作用だけでなく納豆に含まれていなビタミンAやビタミンCが含まれていますし、ネギに含まれる硫化アリルという香り成分は納豆に含まれるビタミンB₂の吸収を促進してくれます。他にも納豆と相性の良い食品として梅干しや生姜、たまごなど様々ありますので自分のお好みの食材で納豆をカスタマイズするのもいいですね!
梅干しを入れる際には、塩分が高くなってしまうためタレや醤油の量を減らすと良いですよ!
最後に、納豆は健康効果が高い食材であるため継続的に摂りたい食品ですが、高尿酸血症の方やワーファリンなどの抗血栓薬を服薬している方は注意が必要です。
かかりつけの医師に相談してから食べるようにしてください。
いかがでしたでしょうか?
今回は納豆のお話と共に、バランスの良い食事についても触れさせて頂きました。
自炊が苦手な方や、忙しい方でも、コンビニやスーパーでお弁当やお惣菜を購入したり外食される際、コラムの中でもご紹介した手でわかる食事量の目安や食品数など気に掛けるだけでバランスの良い食事に変えることができます。
日々のちょっとした工夫で食事のバランスを整えて健康な体づくりを心がけていきましょう!
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