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【知りたい!】~前編~『GABA』について管理栄養士の先生に聞いてみた◎

執筆者

管理栄養士 大屋佳奈 (おおや かな)

給食管理の仕事を主軸に特定保健指導やレシピ開発、国家試験対策についての情報発信、学生相談、料理教室アシスタント、コラム執筆など多岐にわたり活動中。また、イラストレーター・動画クリエイターとしても活動の幅を広げている。

長期にわたる巣ごもり生活に加え、日ごろの体調管理にも気を使わなくてはならず、今までとは違ったストレスが溜まりがちな昨今。

皆さんはどのようにストレスを発散させていますか?

最近ではインターネットコンテンツも充実し、無料の動画サイトでヨガや筋トレをやってみたり、レシピサイトを参考に少し凝った料理にチャレンジしてみたり、野菜や観葉植物を育ててみたり…きっと様々工夫をして巣ごもり時間のストレスを発散させているかと思います。

それでも日々変わっていく情報、見聞きする暗いニュースや報道で無意識のうちに不安を感じ、その不安がストレスとなってじわじわと蓄積されている感覚に私自身参っている次第です。

とある調査によると長引くコロナ禍で、半数の人が感染源になる不安から疲労を感じているのだとか…!そんな中、皆さんは”とある食材”が今ひそかにブームを起こしていることをご存知でしょうか?

その食材とは”発芽玄米”です!

コロナ禍において、この発芽玄米に豊富に含まれている栄養価と健康・美容に対する多様な効果への期待から最近、注目を集めているようです。

今回は発芽玄米に豊富に含まれており、ストレス社会を生きる現代人に必要な栄養成分GABAについてのお話と、GABAを効率良く摂取できる発芽玄米についてお話していきたいとおもいます。

白米と玄米

発芽玄米についてお話する前に、そもそも玄米とはなにかについて簡単にお話したいと思います。

近年、ダイエット効果や健康に良いと話題の「玄米」。

玄米とは、お米を収穫した稲からもみ殻のみを取り除いたもの言い、水に漬けておくと発芽する生きたお米です。胚芽(はいが)・ぬか・胚乳(はいにゅう)でできており、胚芽とぬかには炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維がバランスよく含まれています。

一方で、普段私たちが食べている白米は、玄米から胚芽やぬかを取り除く精米という工程を踏み、胚乳だけになったものを言います。白米は胚芽やぬかの部分を取り除いてしまっているため、玄米と比べると含まれる栄養素は減少してしまいます。

発芽玄米と玄米、白米の関係を示したのが以下の図です。

玄米の栄養成分をパワーアップ!発芽玄米

 白米と玄米の違いを知って頂けたところで、改めまして、皆さんは”発芽玄米”ってご存知でしょうか?

発芽玄米とは、その名の通り『発芽させた玄米』のことです。

え?芽がでちゃっているの?ちょっと気持ち悪いかも…と、豆もやしのような形状を想像してしまった方、安心してください!

発芽といっても、しっかり芽や根っこが出てきている状態ではなく、玄米を水に漬けて1~2mm程度、ほんのちょっぴりだけ発芽させた状態のものを発芽玄米と呼んでいます。市販品ではそれ以上発芽しないように乾燥させて販売されています。

乾燥させてしまっているため、発芽玄米の持つ香ばしい香りや風味が損なわれてしまうのですが、あえて発芽させることで、発芽するときにはたらく酵素によってもともとの玄米に含まれていた成分を分解して、新たな栄養成分を増やしてくれるのです。

また、玄米の炊飯が面倒・硬く食べにくいといった印象の原因となるぬか層も柔らかくなるため玄米のデメリットが解消され、白米と同じように炊くことができるようになります。

なぜ発芽玄米が近年注目を浴びているのか。

それは冒頭でもお話した通り、発芽玄米には5大栄養素だけでなくGABA(ギャバ)というストレスを緩和させてくれる栄養成分が豊富に含まれているからです。

このGABAは発芽前の玄米や普段私たちが食べている精白米にはほんの少ししか含まれていない栄養成分なのですが、玄米を発芽させることによってその含有量を大きく増やすことができます。その量は、精白米の時には100gあたりGABAは1.5mg、玄米では3mgしか含まれていませんが、発芽玄米にすることでGABAの量は白米の約10倍である15mgにもなるのです!

GABAの1日あたりの摂取目安量は30mg程度以上とされています。GABAは発芽玄米の他にもトマトやジャガイモなどの野菜、果物、キムチや漬物などの発酵食品にも含まれているのですが、どの食材もGABAの含有量的に一般的な1日の食事の中では30mgのGABAを摂取するのは難しいため、もっとも効率よくGABAの摂取が可能である発芽玄米に注目が集まっているのです。

GABA(ギャバ)ってなに?

ここからはGABAについて詳しくお話していきたいと思います。

GABAとは、私たちの体内に普段から存在しているアミノ酸のひとつで、γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)の略語です。

GABAは脳や脊髄で精神を安定させる神経伝達物質なのですが、『神経伝達物質』なんて聞きなれない単語で話を進められても困ってしまいますよね。

ここで少しだけ、私たちの身体の仕組みについてお話したいと思います。

交感神経と副交感神経

 私たちの身体の中には多くの神経が様々な器官・臓器に張り巡らされており、それぞれのはたらきの調整を行ってくれています。この神経たちは内臓のはたらきや代謝、体温調整といった機能をコントロールするためにみなさんの意思とは関係なく24時間はたらき続けています。

そんな重要な身体の調節機能を担っている神経は大きく分けて2種類あります。

それが『交感神経』と『副交感神経』です。

この2種類の神経はお互いバランスを取り合いながらはたらいており、その作用によって身体だけでなく心の調子が変わります。

交感神経は例えると車のアクセルのような役割です。交感神経が強くはたらくと、身体は活発モードになり、血圧が上がり、瞳孔が拡大して、心と体が興奮状態になります。身体にストレスがかかっている状態でも交感神経が強くはたいてしまいます。

逆に副交感神経はブレーキのような役割です。副交感神経が強くはたらくと、身体はリラックスモードになり、血圧が下がり心拍数は減少、瞳孔が収縮し、身体と心が休んでいる状態になります。

神経伝達物質であるGABAは身体が興奮状態の時に、身体のアクセルである交感神経の働きを抑えて、身体のブレーキである副交感神経を優位に働かせてね!と指令を各器官に伝達してくれるのです。

GABAは本来、私たちの身体の中で十分な量が作られているのですが、疲労や強いストレスにさらされると身体が交感神経優位な興奮状態になってしまい、それを緩和するためにGABAが不足傾向に陥ってしまいリラックスできなくなって緊張状態が続いてしまいます。

GABAにはストレスを軽減させる他にも、血圧の上昇を抑えたり、中性脂肪を低らしたり、睡眠の質を整えたり様々な効果が期待されています。

前編はここまで!

後編は『GABAを体の中で増やす方法』のお話から再開させていただきますね!

後編につづく

こちらのコラムを執筆いただきました『絵を描く管理栄養士』として活動中の大屋先生についてはコチラからもご確認いただけます。

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