今回は福岡の美容室「スクエアウーノ」の代表、渡邉さんにインタビューをしました。設立当初は、徹底して現場スタッフに“任せること”を意識した結果、ある失敗を経験。その反省を経て、生み出した自己流の経営術について話を伺いました。
本日は宜しくお願い致します。早速ですが、スクエアウーノの設立の経緯といいますか創業秘話を教えてください!
スクエアウーノは2007年に創業しましたので、今年で14年目ですね。当時の経緯としては、私の美容学校時代の同級生が大濠でサロンをしていたのですが、そこで山口(現:大濠店ディレクター)もスタッフとして働いていました。
私から同級生に「一緒に新しいサロンをやろう!」って誘い、株式会社アルチを設立しました。山口をスタイリストとして誘ったのも同タイミングです。さらには私が以前所属していた会社から棚町(現:博多店ディレクター)も合流して、現在のような形になりました。ただ会社創業から1年ぐらい経ったあたりで、共同経営者の同級生が外れることになって、そこから私ひとりが代表になりました。
渡邉さん自身は会社創業以前はどのような美容室で働かれていたのでしょうか?
元々、私が働いていた美容室は福岡県内でも10数店舗展開していた会社だったのですが、比較的オーナーからの意見が強い会社だったんです。
当時は時代的にもオーナーのワンマン経営が上手くハマり、短期間で成長した美容室でした。ただ、各店長さんが自分たちの想いを心に留めて、意見を言うことも無く、イェスマンになっていたんです。
当時、私は統括マネージャーをやっていたので、その状況がはっきりと見えていました。
やがては美容室バブルが終わり、少しずつ会社の勢いが無くなっていくと、徐々に店舗が閉店していき、現在ではその美容室は1店舗も無くなってしまいました。
もうちょっとスタイリストの自主性を持って活き活きと働ける場を作りたいと思いアルチを立ち上げました。
驚きの話です…10店舗以上の勢いのあったサロンだとしても、美容室バブルの終わりとともに姿を消してしまうなんて。
はい。店舗は全て閉店し、会社も倒産してしまいました。当時は美容室バブルの絶頂期で、ヘアサロンを出せば出すほど儲かる状況でした。現場で働いていても「どうしてこんなにもお客さんが来るんだろう?」と思ってしまうぐらい美容師ブームだったんです。
時代の移り変わりとともに淘汰されていきましたね。その時、私が感じたのは、そういうオーナーの意見で作る会社よりも、スタッフひとりひとりが自主性をもって行動して、結果を出せるような会社を作りたいということです。それが会社創業時の想いですね。
渡邉さんとしては、その会社が潰れてしまったのは、現場の美容師さんが活き活きと働いていなかったことも原因の1つだと考えているのでしょうか?
そうですね。時代によっては、トップダウンの方が都合良いタイミングもあると思います。ただ、これからは現場のスタッフが自分の考えを持って、お店を改革していくべき時代に変わってきました。しっかりと現場の意見を吸い上げられる経営じゃないと、時代の変化についていけなくなってきたように思えます。
トップダウン型ではなくボトムアップ型ということですね。渡邉さんがボトムアップ型の経営で心掛けていることは何でしょうか?
「(経営側から現場に)いちいち細かく指示しない」ということですね。スクエアウーノは各店舗にディレクターがいるので、ディレクターのやり方を尊重しています。
ただお店を出した当初、5名ほどのスタイリストに自由にやらせてみたら、スタッフ同士の連携が上手くいかなくなったんです。
そこで考えたのが、ワンマン経営にならないにしても、少なくとも会社としてのビジョンを示さないと、スタッフもお客さんもどんな方向性の美容室なのか分からなくなってしまうと気づいたんです。
そこで経営理念や会社の軸を考えていきました。
最初、スタッフに自由にやらせてみたら上手くいかなかったので、会社理念で方向性だけでも定めようとされたんですね。
そうなんです。最初は極端すぎました(笑)。前いた会社のことを反面教師にしすぎました。前の会社では経営層から、現場の細かいところまで指示が飛んできていたので。経営層の鶴の一声で、現場の動きが全て変わってしまうのが良くないと感じていました。その反動から「自分の会社ではスタッフを自由にさせたい」という気持ちが強すぎたのだと思います。
自由にやらせた結果、具体的にどのような問題が起きたのでしょうか?
どの美容師さんも育ってきた環境が違うので、みな異なった価値観を持っていています。そんな彼らが何かを決断しようとすると意見がぶつかって、スタッフ同士が仲違いしてしまうことがありました。
前回の反省を活かし過ぎたのか、徹底的に自由にさせた結果、上手くいきませんでした。ただそのおかげでスタッフを同じ方向に導くためにも、会社としての理念を掲げる必要があると気づくことができたんです。
現在では会社の理念に共感してくれているスタッフが集まっているので、サロンとしての軸を押さえつつも、みんなに自由にやってもらっている状態です。軸がないと、どんなに自由な発想を持った美容師を集めても、寄せ集めの集団になってしまいお客さんに価値を提供できません。当時それを実感しました。
具体的にはどのような理念を掲げたのでしょうか?
サロンミッションとしては「お客様の365日をもっとキレイに!もっとハッピーに!」
会社の理念としては「会社を取り巻く人々へ日々幸せの輪を広げます!」です。
事業ブランドとしての3つの強みがあります。
1つ目は再現性が高いこと。再現性の高いオリジナルカットテクニック(小顔再現カット)やそのお客様のライフスタイルに合わせて丁度再現しやすいように、コントロールされたデザインと更に簡単に出来るスタイリングの仕方の説明やスタイリング剤のチョイスをさせて頂きます。
2つ目は髪と頭皮・体に優しいこと。ご来店の度に必ずお客様の頭皮と髪の健康チェックを行います。その結果そのお客様に合わせた、ケアメニュー(トリートメント・ヘッドスパなど)のご提案はもちろん、ご自宅でのケア方法やオススメのケア商品をしっかりサポートさせて頂いております。現在はここにインナービューティの取り組みが加わっています。
3つ目は経験価値が高いこと。快適で安心感のあるワクワクな毎日をスクエアウーノで感じでもらいたく。私たちは、まずはお客様1人1人とゆっくり対話することで深く理解する事に力を入れています。
スタッフにはこれら3つの価値を提供することを認識してもらった上で、各々の個性を出してもらっています。
2つ目の部分にインナービューティの取り組みが加わったのは時代の変化が影響していますか?
そうですね。私自身、今まで健康に関してはそこまで考えていなかったのですが、年齢を重ねていくうちに体力の衰えや体型が気になるようになりました。若いころと同じ食生活では体が重く感じたりして、思っているようなパフォーマンスが出なくなってきたんです。
私は40代前半ぐらいから3年~4年トライアスロンをやっていたので、運動で体力の衰えをカバーしていました。ただ最近はトライアスロンほどの激しい運動はできないので、軽いランニングに切り替えています。同時に運動習慣だけでなく、食生活も変えていこうと考えるようになったのがインナービューティについて考えるようになったきっかけですね。
そこからプロテインやサプリメントに興味が出始めて、スタッフにも情報を共有するようになりました。会社からの福利厚生といいますか、スタッフが健康であることが、巡り巡ってお客さんへのサービスにも繋がると思っているので、食生活も気を使って体調管理をして欲しいという想いは以前からあったんです。
1年ぐらい前から酵素ドリンクを使ったファスティングをサロン内でやるようになって、やがてはその商材をお客さんにも提供するようになりました。本格的にインナービューティを事業としてスタートしたのはその辺りですね。
インナービューティをサロン内で展開する際、渡邉様はオーナーとしてどのようなメッセージを現場に出されたのでしょうか?急にファスティングの話をしたとしても、現場の方々はついてこられないように思えます。
毎日、少しずつ健康に関する情報を現場に渡していて、スタッフがインナービューティに気になり始めたところで、会社負担でファスティングセットを使って「みんなで1回やってみる?」みたいな感じでやりましたね。自分が効果を実感出来たら自ずとお客さんにもインナービューティのことを説明できると思っていましたので。「今日からこの商材を売ろう!」ではなく、まずは自分で体感して欲しいと考えました。お客さんとインナービューティの話で盛り上がって欲しいと伝えていますね。
■店舗情報
HAIR MAKE SQUARE*uno HAKATA(ヘアーメイクスクエアウーノ ハカタ)
住所:福岡県福岡市博多区博多駅前4丁目30-24ロマネスク博多駅前第2 1F
アクセス:博多駅の博多口から西鉄バスで最寄りバス停「駅前4丁目」まで約5分そこから徒歩約5分になります。
営業時間:10:00~19:00(受付時間)
定休日:不定休
HAIR MAKE SQUARE*uno OOHORI(ヘアーメイクスクエアウーノ オオホリ)
住所:福岡県福岡市中央区大手門3-1-1-1F
アクセス:【地下鉄】大濠公園駅3分【バス】大手門3丁目1分
営業時間:10:00~19:00(受付時間)
定休日:毎週火曜/隔週月曜(祭日は営業しております)
お店のホームページ:http://www.square-style.com/