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食材における「発酵」と「熟成」の違いとは

最近では発酵をウリにした飲食店が登場し、人気の飲食店として行列をなしています。一方、熟成肉がブームにもなったり、熟成期間が長いオールドヴィンテージのワインは数百万円の値段が付くほどの価値を生み出しています。

食材にとってはとても重要な役割を果たしている「発酵」と「熟成」ですが、その違いについて知っている人は少ないのではないでしょうか。今回は「発酵」と「熟成」の違いについて解説をしていきます。

熟成と発酵の違い

まずは熟成と発酵、それぞれについて知りましょう。熟成と発酵の特徴だけでなく、その違いについても解説をしていきます。

熟成とは何か?

熟成は、その食材が持っている酵素によって、たんぱく質の分解などが起きて行われます。例えば、近年話題の熟成肉については、食肉をすぐには食べずに、温度と湿度が管理された場所で一定期間保存することで、お肉自体の酵素によってたんぱく質が分解されることで行われます。たんぱく質が分解されることで身が柔らかくなり、旨味の素となるアミノ酸が増加することによって味も美味しくなります。

ちなみにワイン、清酒、ウイスキーなど酒類の熟成は、保存・貯蔵中に起きる化学的変化です。

発酵とは何か?

一方、発酵は食材に付着させた菌やカビなどの微生物がたんぱく質や糖質を分解し、アミノ酸やアルコールなどを作り出します。アミノ酸やアルコールが増すことで、味に深みが増して、私たちが食べたときに「美味しい!」と感じるものになるのです。

発酵のために使用する菌は、主に麹菌や乳酸菌、酵母菌といった微生物です。発酵には微生物の働きが欠かせないものとなっており、代表的な発酵食品は味噌、醤油、ヨーグルト、チーズなどが挙げられます。

熟成と発酵の違いとは?

つまり食材が変化する過程に、生きた微生物が関わるかどうかが発酵と熟成の大きな違いという事になります。しかし、厳密に熟成と発酵の違いを別けるのは難しいとされています。例えば、味噌は米に麹菌をつけて発酵させ、発酵の段階が終わると麹菌由来の酵素によって熟成の段階に入ります。

発酵は微生物の作用ですが、食品の味わいの変化は、微生物がつくり出す酵素によっても進むのです。よって、発酵と熟成は工程としては地続きなので、はっきりとした線引きは難しいとされています。

発酵食品の良い点、3点

発酵させた食品にはどのような良い点があるのでしょうか?ここでは発酵食品の良い点を3つ挙げていきます。

1:栄養価が高いこと

1つ目の特徴は発酵食品には栄養価が高いことが挙げられます。発酵食品を作るために活躍する発酵微生物は、原材料には含まれていなかった栄養素(ビタミンやアミノ酸)を生成するので、とても栄養価の高い食品に変わります。このような栄養素の増加によって、発酵食品には体の免疫力をアップする作用があるとされています。

2:美味しいこと

2つ目の特徴は発酵させることで美味しくなることが挙げられます。たとえば、ゆでただけの大豆より、納豆のほうが旨味があってご飯にも合う。原料の味と香りを変化させるのも発酵の大きな特徴だ。

発3:腐りにくいこと

3つ目の特徴は腐りにくいことが挙げられます。発酵させると保存が効くようになります。例えば納豆やヨーグルトが良い例でしょう。もし牛乳を常温で放置したら簡単に腐敗してしまいますが、乳酸菌を加えてヨーグルトにしておけば腐りにくくなりあす。

微生物には2種類いる

発酵に必要な微生物にも様々な種類がいます。微生物には人間にとっての善玉と悪玉がいるのです。食品をおいしくする発酵微生物は善玉です。一方、食べ物を腐らせるのが腐敗菌であり、それらは悪玉に分類されます。善玉と悪玉の微生物による分解であるかどうかが、発酵と腐敗の違いといえるでしょう。赤痢菌、チフス菌、結核菌など病原性のある微生物も悪玉の種類に分類されるでしょう。

まとめ

今回は「発酵」と「熟成」の違いについて解説をしました。「発酵」も「熟成」も、最初の発見は偶然の産物だったとも言われています。今となっては、長い期間を要して育まれた先人達の知恵が詰めこまれた大切な技術です。「発酵」と「熟成」によって、うま味や芳醇なコクや香りを感じ取って、普段の料理にも上手に取り入れていきましょう。

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