今回は、フリーランス美容師として、銀座を拠点に活動される加藤ユウタさんにインタビューしました!「資生堂SABFAトップクリエイターズアカデミー2018最優秀賞(マサ大竹賞)」を始めとした輝かしい受賞歴と大手企業での経験を活かしフリーランスとして独立。今後の展開として起業も視野に入れている加藤さんに、独立のきっかけや時代に合わせた集客テクニックについて訊きました。
本日は宜しくお願いします!加藤さんは美容師になられてどれくらい経ちますか?
美容師になって14年目です。そのうち13年間は、大手の美容室にいまして正社員だったのですいざフリーランスになると大変でした。自分一人で集客もしつつ、どれだけ自分の生活の基盤をキープできるのかが、まず最初の課題でした。
最低限の生活ができるようにはなっているものの、これから先独立、開業、起業となると先のことを見据えた行動をしていかないといけないので、日々やっていることとしては、まずはお客様をしっかり集めるっていうことでしょうか。
1年前に独立しようと思ったきっかけとは何だったんですか?
もともと私は大手の美容室に勤めていました。会社員の頃の私は「辞める」って言いださなそうな、愛社精神まる出しみたいな社員だったんです。ずっと会社を辞めるとか考えたことなかったタイプで、そんな中コロナの波がきて今後について考えるようになりました。
大手の美容室あるあるだと思うんですけど、今の時代のやり方になかなかフィットさせられないといいますか、新しい方法を柔軟に取り入れられないのが気になり始めたんです。
例えばSNSだと早い人だと7~8年前から取り入れていると思うんですけど「SNSやりましょう」「YouTubeやりましょう」といってもなんかピンときてもらえなくて、やっぱり大手って上にいる方たちの年齢層が高いので、どうしても若い人とのアンテナとの誤差っていうのはどうしても出ているなっていうのが、独立を考えた最初のきっかけです。
実際、現在の加藤さんのSNSはとても楽しい仕掛けがたくさんあって、フリーランスだからできるSNSのマーケティングを存分にやられている印象です。インスタもレイアウトの工夫がされていて楽しいです。
ありがとうございます。インスタを運用するにあたって「どんなヘアスタイルにしてもらえるか?」だけではなくて「どんなヘアスタイリストに切ってもらえるのか?」「雰囲気はどんな感じなのか?」が写真から伝わった方が良いと思ったんです。SNSに力を入れ始めたのは、コロナだからこそ営業できないっていうのも理由の1つですが、これからの時代は各々で発信をしていかなければならないと思いました。
※加藤さんのインスタグラム
会社員だったころは、積極的なSNS運用の提案に限らず、現場からの提案がなかなか通りませんでした。会社の方針や取り組み方に疑問を持つようになったのが独立のきっかけですね。
現場では「絶対こうした方がよい」というのがあるのに、それをなかなか上の人が吸い上げてくれないというのは、大きい企業あるあるですね。
そうだと思います。世間の流行を取り入れるのに少し時間がかかってしまうようです。ヘアスタイルのトレンドを取り入れて、それを各店舗に通達するのは早いのですが、そのヘアスタイルを作品として落とし込んでSNSなどで発信するスピードは遅すぎると感じましたね。
トップからのアイディアはすぐに社内に広がっていく一方、社員からの意見というのは経営層になかなか伝わらないということなんですね
そうですね。ただ勤めていた会社では、普通の企業では経験できないようなことをたくさんやらせてもらえたので、今でもとても感謝しています。フリーランスになった当初は大変でしたが、少しずつ軌道に乗り始めているので、フリーランスになったことは後悔していません。あとやはりフリーランスとして自分の力で仕事をしていくと、学ぶことがたくさんありますね。
この一年で(フリーランスになられて)一番学んだことは何でしょうか?
学んだことがたくさんありすぎて、これって一つに絞れませんが。1番は世間に様々な人がいると知ったことですね。掃除ができる人とできない人、挨拶できる人とできない人、一般常識が備わっている人とそうでない人など。
企業に所属しているとその辺りは経験できないかもしれませんね。会社に勤めている方はある程度、礼儀礼節はしっかりしていますし、掃除などの仕事も皆さんしっかりやるように教育されますし。
その通りですね。
これから加藤さんがフリーランス美容師として、やっていきたいことについて教えて下さい。
これまでもやってきた活動ではあるのですが。アーティスト寄りの活動ですね。(※)『Japan Hairdressing Awards(JHA)』というヘアメイクのコンテストがあるのですが、こういった舞台でモデルさんを起用したクリエイティブ作品を作っていきたいです。美容師として集客も大切ですが、アーティストとしての活動も精力的にやっていきたいです。会社員で忙しくなってきたころは、一時的にこういったクリエイティブな仕事から離れてしまった時期があったんです。
※『Japan Hairdressing Awards(JHA)』とは、『BRITISH HAIRDRESSING AWARDS』を参考とし、1990年から日本で発足された。『BRITISH HAIRDRESSING AWARDS』とは、1985年にスタートし、その年の英国美容界においてすばらしい才能と卓越した業績を残したヘアドレッサーを評価し、賞賛し、その名誉として”賞(アワード)”を贈るもので、英国美容界の年間行事で最も権威ある催しとされている。
本業として美容師をやりながらも、延長線上にこういったアーティスティックな活動があると、技術力の向上にもつながるんです。コンテストでの作品作りにおいて、髪の毛の質感づくりは大事な要素の1つです。そういった技術のディティールがサロンワークにも活きるんです。モデルさんを活かしたヘアスタイルをクリエイティブすることで、自分の美的センスも磨けるし、全てが美容師の仕事に繋がります。
※加藤さんのアート作品
どんなにSNSで集客が上手くなっても、肝心の技術レベルが低いと本末転倒です。クリエイティブをやっていれば必然的にカットがうまくなってくるんです。
なるほど。実際、アート作品と同じヘアスタイルをお客さんにさせるわけではないけど、アート活動で得られる技術が普段の業務にも活かせるんですね
しっかりと活かされますね。あと最近はたまに、新規のお客様で「奇抜なヘアスタイルをしたい」っていうお客様もいらしゃっていて。その注文を受けたときに「そのようなヘアスタイルはできません」と言ってしまような美容師にはなりたくないんです。
個性を際立たせる時代に突入していると思うので、これからの美容師さんはどんどんコンテストやクリエイティブに取り組んでいた方がいいとは思うんです。自分の名刺代わりに「こういうヘアスタイルを作ったんです!」っていうのを作る時代だと思います。
あと私自身、将来的に起業することも考えているので、技術やマーケティングについても後輩に教えていけるようになっていきたいと考えています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!最後にお聞きしたいのですが、フリーランスに向いている方って、どんな方だと思いますか?
前提として一般常識があることと、あとは精神的に自立している人だと思います。そういう方って、開業した時もうまくいきやすいのかなと思います。あとは人間力といいますか、スタッフ含め、お客様に対して感謝の気持ちを持てること。そういった部分が大事だと思います。
一般常識ですか…ということはもしかしたら専門学校を出てすぐフリーランスなるよりも、一旦は大きな会社に入って方が良いでしょうか?
間違いなくそう思います。若い頃にしか学べないことってたくさんあるし、そこで会社に残って、会社の規模拡大に貢献していくという道もあると思います。あとは会社で上下関係や長時間の仕事など、厳しい局面を経験しておくことで、後々に人間味として出ると思うんですよね。若い間は「どれくらい給料がもらえるか」よりも 「何を学べるか」っていう観点で道を選んだ方がいいと思います。
加藤さんのSNS情報など
インスタグラム:https://www.instagram.com/kato0706_salowin/
ツイッター:https://twitter.com/hair540
予約はこちらから:https://www.kato-yuta.com/
【店舗情報】(加藤さんが施術に利用しているお店)
◆サロウィン 銀座
東京都中央区銀座2-4-18 ALBORE GINZA 6F
営業時間:09:00~23:00
定休日: なし
電話番号:03-6271-0078
https://salowin.jp/share_salon/ginza/