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世代を超えて愛されるサロン【hair salon pele ヘアーサロンペレ(自由が丘)】

今回は、自由が丘のhair salon pele (ヘアーサロンペレ)オーナー、中村さんにインタビューしました!

「黒髪のデザイン」をアジアに広めたい!と、激戦区、自由が丘だけでなくシンガポールまで活動の幅を広げられています。美容師にとっての“技術”とは?世代を超えてお客様に満足してもらえる“サービス“とは?たっぷりと聞いてきました。

――美容室激戦区の自由が丘だけでなく、さらにシンガポールでも活動されているんですね。ものすごいバイタリティです。

美容師になって31年程なのですが、この12年間は1か月~2か月に1回はシンガポールに行っていました。現在はコロナ等の諸々の状況もあって、シンガポールでの活動はストップしている状況ではあります。

美容学生だった頃から、海外で働いてみたいという想いはあったのですが、その後、しばらくは日常の業務でその気持ちは心のうちにしまっていました。そんなある日、34歳ぐらいのときにふと海外でもやってみたいと思い出して、そこからですね動き出したのは。

――動き出したのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。

プライベートでシンガポールに行く機会がありまして、その時、街並みから刺激を受けたのと、シンガポールサロンオーナーさんからも刺激を受けました。また、日本が海外と比べても都会で綺麗で安全だという教育を受けてきたのですが、シンガポールに行った時に東京よりも都会に感じたんです。とにかく「すごいなー」と感じました。

ある日そのオーナーさんから僕宛に「シンガポールでカット&カラーセミナーをやって欲しい」という依頼がきました。それをきっかけにその後も、オーナーさんとは、上海、バンコク、インドネシアに視察旅行に行ったり、プライベートでも交流を深めました。そういうこともあってのことです。

――当時のシンガポールの美容師の技術力はどうでしたか?

レベルに関してはとても低かったと思います。ただ、上手くなりたいと思っている美容師さんはたくさんいます。ただ、そう考えるのは現地の方と言うよりも、マレーシアの方やインドネシアの方や中国の方が意識は高いです。

――かなり多国籍な国なんなんですね。現地の方々の意識が高まらないのは、それは国内に技術が無いからなのでしょうか?

シンガポーリアンの方達は、雇用が国に守られているので、なんというか…簡単にクビにならないんです。

――日本よりもですか!

そうです。なんていったらいいんですか、たとえば私がシンガポールのお店で、マレーシアの方やインドネシアの方を雇用したい場合、最低シンガポーリアンを3名雇用しないといけないとか。比較的、優遇されています。政府がうまくコントロールしているんです。

――なるほど。ということは国内の雇用を守っている分、国外からの技術が入り辛い状況でもあるということなのでしょうか。

そういうこともないと思います。意識の高い子たちはシンガポールから出ていく子もいましたね。当時もシンガポールのサロンのオーナーさんやスタッフさんも、視察を兼ねて僕のお店に見学へ来られてました。

――そこまでグローバルにされていると、日本の美容室のことが客観的に映っているかと思いますが。どのようなことを感じましたか。

日本の美容室は、レベル技術は高いです。

――具体的にはどのような点が優れているのでしょうか?

日本はカットのデザイン力も高いですし、基礎からしっかり学びます。もちろん美容学校でも学びますし、うちのお店であればベーシックカットやアレンジも含めると30スタイルぐらいあるんです。それを僕が直接教えるので、うちの子たちのレベルは高いと思います。

一方、シンガポールの子たちもやる気はあるのですが中々練習しないんです。聞いた話によると「なんで練習しないの?」って、若い美容師さんに聞いたら、「いつもあなたのカットを見ているから大丈夫覚えた」って答えるんですって。見て覚えたから、私もあなたと同じ仕事ができるという感覚になるようです。

お客様に対してのサービスもそこまで高く無かったですね。「襟濡らしてもごめんごめん」という感じで、しかも、お客さん側もそれを許しちゃうので。

――なんといいますか…全体的に寛容な文化なんですね。すると中村さんとしては、現地では技術だけでなく、おもてなしの精神も教えないとならないので、大変ですね。

その辺のホスピタリティは教育しました。当時、私の英語もカタコトだったので、もう少し英語が流暢だったらよりしっかりと教えられたのかもしれませんが(笑)

――今店内を見渡してもpeleは大きくて素敵な店内ですし、自由が丘って、表参道や銀座なみに美容室が多く、全体のレベルも高いと思うんです。生き残るだけでも大変だと思うのですが。

もう15年目になりますし、店舗を増やすことを考えていた時期もありました。でも、諸般の事情もあって、出店しなくて良かったのかとも思います。。

――シンガポールでの指導のご経験を活かして、中村さんが教育やコンサルティング側に回るというのもあり得るのでしょうか?

技術に関しては他のサロンさんからの依頼でカットセミナーなどを行ったりしています。

――そうなんですね。この自由が丘という地域内ではどうなのでしょうか。美容室激戦区だというイメージがあり、美容室同士は横の繋がりが薄いイメージがありますが。

そんなことはありません。自由が丘ですと、私たちは6店舗のオーナーさんと『自由が丘シリーズ』というシャンプーを開発して販売しています。

※サロンで販売されている『自由が丘シリーズ』

その他、合同の勉強会をして交流をしたりしています。今は活動を自粛していますが、僕や他のサロンのスタッフさんが講師になったり、外部から講師を呼んでセミナーを開いたり、いろいろやってます。

自由が丘内にも他のグループがありますし、表参道界隈にもグループがあるというのはよく聞きますね。ノウハウの共有だけでなく、面白かった話を共有したり、5、6店舗のオーナーさんが協力してひとつの会社に投資して、商品を仕入れるとか。

――意外でした。美容室同士は競合だと思うので、情報を閉ざし合うのかと思っていました。

私たちはお互いのことを競合だとは思っていないです。サロンのカラーもあるし、うちは高単価のサロンなので、アットホームな中にもデザインや技術を提供しているんです。

――こうしてインタビューをしている中、営業終了後もスタッフの方々が自主的に店内で練習を始められました。とても和気あいあいとしつつも、技術を高めてらっしゃいます。中村さんの『技術やサービスへの意識』が皆に伝わっている証拠かと思いますが、実際にはお客さんからはどのような反響がありますか?

この間、WEBでの口コミを見たのですが、そのお客さんは20年以上担当していて、その方が結婚される前から担当しています。ある日、小学5,6年ぐらいのお子さんと一緒に来店されたんです。そこで奥様から「中村さん(長女の髪を切ってもらって)いい?」って言われたんです。

そこで話をしたのですが、奥様が言うには「長女は幼稚園の同級生のお母様が美容師さんだったので、その美容師さん以外には切らしてなかったみたいなんです」。でも、たまたま「お母さんのことを担当している美容室にも行ってみる?」って長女に訊いてみたら、お子さんも興味があったんでしょうね、それで一緒に来たみたいなんです。

すると後日、奥様の口コミでのコメント欄で

「担当スタイリストさんとは20年来のおつきあいになりますが、初投稿です。
先日12歳の娘と共にカットに伺いました。私自身は担当スタイリストさんの技術に不満があるはずもなく、いつも通り洗いっぱなしでもなんとかなる髪型に仕上げて頂きました笑笑
娘はこれまで保育園時代の幼馴染のママに切ってもらっていて、そのママ以外は絶対NGだったのに、今回わたしに付き合って担当スタイリストさんにカットしてもらったら、帰りの電車の中で、「これからも母ちゃんと一緒にここに切りに来ていい??」と。
12歳の娘も違いの分かる女になりました笑笑
これからも親子共々よろしくお願い致します。」

というように書かれていました。

――それはとても嬉しいことですね。子どもながらに“良いお店”の味を知ってしまったといいますか。高級焼肉店の味を覚えちゃったみたいな(笑)

僕自身としてはとても嬉しいことですね。高級店だということというよりも、子どもながらに「私の髪の毛をこんなに可愛くしてくれたんだ!」というのが満足してもらえたんだと思うんです。

――確かに、一番素直な子供に良いと思ってもらえたのも素敵です

私もそれを見た時、思わず笑みが出てしまって、嬉しかったですね。

――しかも、世代が受け継がれたのが素敵な話ですね。

そういうのがたくさんあると、美容師の仕事も楽しいと思います。僕も若いころ「何しに東京に出てきたんだっけ?」と考えるようになって、「山口県の実家に帰ろうかな、、、?」って思った時があったんです。でも、有名な美容師になろうと思ってやってきたのにこのままでは帰れない。

そこから原宿のお店で働いて、そこで自分のだらしないところを叩き直されたんです。そこで美容への価値感が変わって、休みなく働くことができるようになった。

でも今はもうそういう時代でもなくなってきて、休みをとらせながら育てていくやり方をしないといけません。時代に合わせて新しいやり方をしていくことが大切だと思います。

――本日はありがとうございました。日本とシンガポールのスタンスの違い、これからの美容師の意識や奥様とお子さんの温かいお話。グローバルからアットホームなお話まで、素敵なエピソードの数々、ありがとうございました!

【店舗情報】

◆hair salon pele (ヘアーサロンペレ)
電話番号: 03-5707-8181
住所:東京都世田谷区奥沢6-31-15
営業時間 : 月・水・木・土/10:00~20:00(カット最終受付19:00まで)
金/12:00~22:00(カット最終受付21:00まで)
日祝/10:00~19:00(カット最終受付18:00まで) 
定休日:火曜日
https://pele-hairsalon.com/

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