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【知りたい!】~前編~『睡眠』について管理栄養士の先生に聞いてみた◎

執筆者

管理栄養士 大屋佳奈 (おおや かな)

給食管理の仕事を主軸に特定保健指導やレシピ開発、国家試験対策についての情報発信、学生相談、料理教室アシスタント、コラム執筆など多岐にわたり活動中。また、イラストレーター・動画クリエイターとしても活動の幅を広げている。

こんにちは!夏の猛暑も落ち着き、エアコンが無くても寝付きやすい季節になってきましたね!

夜遅くまでのPC作業や、布団でのスマホなどは、良質な睡眠に大切な「体内スイッチ」を乱すともいわれています。

睡眠にはもちろん”時間”も大切なのですが、実はその”質”自体が重要であるとも言われているので、今回は良質な睡眠と食習慣の関係についてお話したいと思います!

秋は睡眠の季節ともいわれます。皆さんもこの機会に、ご自身の睡眠を見直してみてはいかがでしょうか?

 

睡眠は身体のメンテナンス時間

睡眠中は疲労回復、壊れた組織や細胞の修復、日中に得た情報や記憶の整理が行われます。つまり『身体のメンテナンス時間』であるといえます。

このメンテナンスは『成長ホルモン』と呼ばれる物質によって行われます。

成長ホルモンと聞いて、『子供が成長する時期にしか出ないんじゃないの?』と思われた方がいらっしゃるかと思います。

成長ホルモンは確かに子供の成長期に最も多く分泌されるホルモンですが、大人になっても成長ホルモンは分泌されています。

成長ホルモンは私たちが眠っている間、食事から摂取した栄養を筋肉などの組織に吸収させるように働いたり、傷んだ細胞の修復や細胞分裂を促して新しい細胞を作ったり、骨を太くしてくれたりする働きがあります。

まさに身体のメンテナンスを行うスペシャリストですね!

質の良い睡眠と質の悪い睡眠

睡眠の質と成長ホルモンの分泌量はとても密接に関係しています。成長ホルモンは寝入りから3時間以内の時間帯に最も分泌されるとされているのですが、この時に注意しなくてならないのが睡眠の質です。

個人差はありますが、人間はレム睡眠(浅い眠り)ノンレム睡眠(深い眠り)を大体90分周期で繰り返しています。更に、ノンレム睡眠の中でも深いノンレム睡眠と・浅いノンレム睡眠が存在します。

言葉では説明が難しいため、下記の表を参照してください。

引用:NATIONAL GEOGRAPHIC「健やかな睡眠のカギを握る「メジャースリープ」とは」記事掲載、国立精神・神経医療研究センター三島和夫氏

図から分かる通り、成長ホルモンの分泌は寝入りから最初の90分間にどれだけ深いノンレム睡眠に持って行けるかで分泌量に差がでます。

せっかく睡眠時間をしっかり確保していても入眠直後から浅いノンレム睡眠が続いてしまったり途中で覚醒してしまう等、質の悪い睡眠になってしまっていると成長ホルモンの分泌量が低下してしまいます。

さらに、この成長ホルモンは年齢とともに分泌量が減少してしまうのです。

しっかりと成長ホルモンを分泌させてあげるためにも入眠からすぐに深いノンレム睡眠に入ること、つまり質の良い睡眠をとることが大切になります。では、質の悪い睡眠を続けていると身体にどんな悪影響が発生してくるのでしょうか?

例えしっかりと睡眠時間が確保できていても、質の悪い睡眠になってしまっていては実質睡眠不足と同じ状態になってしまいます。

慢性的な睡眠不足が続くとメタボリックシンドローム高血圧糖尿病のリスクが高くなるとされています。また免疫力低下にも繋がり風邪や病気にかかりやすい身体になってしまいます。

身体のメンテナンスを行う成長ホルモンの分泌も悪くなってしまうので、細胞の修復や新しい細胞分裂が十分にできず寝ているのに疲労感が取れなかったり、肌荒れなどを引き起こす原因にもなってしまいます。

朝の目覚めが悪くなかなか起きられない、日中に睡魔がやってくる、最近仕事でミスが多くなった…なんて状態の方は、質の悪い睡眠で寝不足状態になっている可能性があるので、普段の生活習慣や食習慣を見直す必要があるかもしれません。

何が睡眠の質を悪くしてしまうのか?

 ここまで、睡眠の質が私たちの身体に与える影響の違いについて学んで頂きました。

では、何が原因で睡眠の質が悪くなってしまうのでしょうか?

生活習慣の中で眠りの質を悪くしてしまう習慣には寝る前のネットサーフィン(ブルーライトで覚醒状態になってしまう)や、休日の寝貯め(体内リズムがずれる原因)等が挙げられるのですが、全てを解説していると夜が明けてしまうので、今回は管理栄養士として睡眠の質に関わる食習慣を中心にお話させていただきます!

【よく眠れるので寝る前にお酒を飲んでいる】

私はお酒が大好きなので、寝る前のお酒でスヤッと眠れる気持ちよさは良くわかります…!事実、アルコールが睡眠を誘うことは科学的にも証明されているのですが、身体にとっては負担でしかありません。

寝る前にアルコールを摂取すると、本来私たちが眠っている間はお休みしているはずの肝臓がアルコールを分解するためにはたらき続けなければなりません。また、アルコールには利尿作用があるため夜中にトイレへ何度も起きてしまうのも眠りを浅くしてしまう原因になります。

たまの飲み会や晩酌程度であればいいのですが、普段寝つきが悪い方がお酒を飲むとすぐに眠れるからと寝酒が習慣化、身体のアルコール耐性が上昇し更に飲酒量が増え、より睡眠の質が悪化してしまうという負のループにはまってしまうことが一番良くありません。

次のトピックで睡眠の質を良くする方法をいくつか挙げているので、そちらを参考にしてみてください!

【夜中にお腹が空いて眠れないので夜食を食べている。帰る時間が遅いため、夕食の時間が寝る直前。】

寝る前にお腹が空いてしまう原因としては、寝る時間に対して夕飯を食べる時間が早すぎることや、意外に思われるかもしれませんが夕食のメニューが丼物や麺類の単品だったり、ラーメンとチャーハンのセットなど”糖質が多い”食事であることが挙げられます。

特に2番目の糖質の多いメニューを食べたときになぜお腹が空くのかを知ることがとても大切です。

食事の時に糖質を多く摂取すると、血糖値が急激に高くなります。そして少し時間が経つと、その反動で急激に高くなった時と同じくらい血糖値が大きく低下してしまいます。この血糖値の急降下が空腹を招いてしまいます。

お仕事の都合でどうしても帰りが遅くなってしまい、夕食が寝る直前になってしまう方もいらっしゃるかと思います。お昼ご飯から絶食状態が長いため、空腹感からドカ食いをしてしまうケースも多く見られます。

寝る前にご飯を食べてしまうと、消化が間に合わず寝ている間も消化器官がはたらき続けなくてはなりません。消化されたエネルギーも、寝ている間は消費されないため脂肪に変わってしまい肥満を招きます。肥満は睡眠中に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群といった病気のリスクが高まる原因となります。

解決策としては、普段夕食の時間が早く、夜遅くにお腹が空いてしまう方は、夕食の時間をずらすことで夜中の空腹を回避することができます。

また、夕食のメニューは量の多めな丼物や麺類の単品のみを食べたり、ラーメン・チャーハンのような炭水化物の重ね食いなどを避け、野菜の入った汁物やサラダ、副菜などをバランスよく取り入れ血糖値が緩やかに上昇するメニューにすることが大切です。

寝る前にどうしても空腹が我慢できない場合は、無理に我慢して眠ろうとすると逆にストレスとなって質の良い睡眠を妨げてしまいます。

コラムの最後にどうしても食べたくなった時の夜食を載せていますので、そちらを参考にしてみてください!

どうしても夕食が寝る直前になってしまう方は夕食を2回に分ける『分食』をすることがお勧めです。

分食とは、例えば普段寝る前にご飯・おかず・味噌汁をしっかり食べている方であれば、18時や19時くらいにおにぎりなど片手間で食べられる軽い軽食を取り、寝る前は味噌汁とおかずだけを食べる。つまり普段の1回分の食事を2回に分けて食べることです。

こうすることで、絶食時間も短縮されてドカ食いを避けることもできますし、消化の負担も減らすことができるのです。

前編はここまで!

後編は『質の良い睡眠にするためには?』のお話から再開させていただきますね!

後編につづく

こちらのコラムを執筆いただきました『絵を描く管理栄養士』として活動中の大屋先生についてはコチラからもご確認いただけます。

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