今回は、門前仲町の「アメリ エ ギャルソン」ディレクター、坂本さんにインタビューしました!計算された店内ポップとデザイン!また“大人カワイイ”という新キーワードはどのようにして生まれたのか?
――とても個性的ですが洗練されていてお洒落な店内ですね。座ってるだけで楽しくなってくるというか、美容室じゃないみたいです。
元々の店舗が2006年創業だったので、2006年から2015年の2月までは別の店舗としてやっていたのですが、一度リニューアルして、店名も変更してこのデザインに変えたんです。
――アメリエギャルソンは店舗がたくさんありますよね。同時に全ての店舗が変わったのでしょうか?
順々ですね。いちばん最初に変わったのが埼玉の店舗ですね。
――エリアごとに人気のデザインって、違うと思うんですけど如何でしょうか?
そうですね。デザインに関しては本社が指示をする場合も多いと思うのですが、我々のところは店舗のメンバーの意見を入れてデザインを考えますね。この門前仲町店には僕の意見が入っていますし、菊川店はそこの店長さんの意向でサーフボードだったり、西海岸っぽい感じになっていますね。
――店舗ごとに特徴があるんですね。全店舗制覇してみるのも面白いかもしれません(笑)ところで坂本さんはディレクターという肩書ですが、店長とディレクターは具体的に何が異なるのでしょうか?
店長というのは、それぞれの店舗の売り上げを作るためにその店舗のコントロールをして、なおかつ自分の背中を見せていかなければいかない。僕はどっちかというとその店長さんのコントロールと、さらにその下の子たちの面倒も見ていくことになります。僕は4店舗を管轄していまして、だからディレクターというよりマネージャーというのが近いのかな?
――店長のマネジメントみたいな感じなんですね。
そうですね。店長だったころは自分のお店の売り上げを第一に考えていました。今はどっちかといえば自分の売り上げではなく、会社全体を見て無駄な部分(業務、サービス)を削ぎ落としている感じですね。
――役職のフェーズで変わってきてるんですかね。役職が変わってマネジメントレイヤーに移ると、プレイヤーの頃が恋しくなる美容師の方も多いと聞きますが如何でしょうか。
僕も管理する立場になることで、お客様と直接関われる機会が減って、それはそれで寂しいものがあるし、現場から離れるのはもっと先でいいのかなって思うこともありました。でも実は僕は必ずしも美容師だけをやりたかったわけではないんです。
僕はもともと飛行機が大好きで、中学生の頃から航空整備士になりたかったんです。あとは動物も好きなので、獣医さんとかそっちの方もいいなって考えてました。
でも、医学部となると非常にお金も掛かるので、じゃあどうしようかって思ったタイミングで、たまたま知り合った美容師さんと話すうちに「この人の下で働くの面白そうだな」って思って美容師として働く流れになりました。職業じゃなくて“その人“に惹かれたんです。
――その美容師さんがキーパーソンだったと思うのですが、具体的に何が魅力だったのでしょうか?
挨拶だったり、笑顔が素敵だったり、すごく感じの良い人だったんですよね。技術以外のそういうとこに人間としての魅力を感じられました。あと、その方は何名のお客様を抱えても絶対に手を抜かない。
そのあとも何店舗もやりましたけど、すごいと言われる人でも人間性が伴ってなければ僕は賛同できなかったですね。
――そういう方との仕事だと「技術だけ盗むみたいな」(笑)
そうですね、技術だけ盗んでいました(笑)
なので、この世界の入り口がそうだったので、必ずしも美容師としての仕事だけしか関心が無いかと言うとそうでもないんですよ。どっちかというと、違うこともどんどんやっていきたいんです。
――このお店が雰囲気からもその(いろんなことをやりたい)ノリを感じます(笑)
そうですね(笑)逆にそういう考え方のほうが折れづらい業界かもしれません。「自分にはこの業界しかない!」っていう人ほど、進む力は強いんですけど、少しでも自分の中の美容業界のイメージと違っちゃうとすぐに「ポキ!」っといっちゃうので。僕もここまで何だかんだ長年できてるし、結果良かったのかなって。
――この内装のセンスも第一印象では、お洒落な飲食店をイメージされているのかなと思いました。
ああ!そうですね。いろいろやりたいんですよ。美容室だけにこだわっているわけではなくて。
ここで何か別のことやれないかなって思って。例えば、六本木のスタバとTSUTAYAが合体してる店舗ありますよね。あんな感じのことをここでやれたらすごく良いなって。他業種と混ぜて展開できないかなって、常にアンテナを張っています。
――坂本さんなら、昨今のコロナ禍のような厳しい状況でも、何かアイデアがありそうですね。
常に考えてますね。僕もお客さんも飽きないように、何か違うことを。とにかくチャレンジ。ダメだったら次にかえる。その繰り返し。
――坂本さんにとって”飽きた状態”とは何でしょうか?
僕が何かつまんないなと思ったことですね。技術のメニューであったり、扱ってる飲み物であったり、スタッフの対応であったり。つまらないと感じたらすぐに変えようとしますね。
――しかも、その変更をお客様のニーズに合わせて変えていくとなると大変ですね。具体的にどう考えていますか?
この変更をやったときに誰が反応してくれるかな?って頭の中に思い浮かべるんですよね。そこで、具体的に4、5人ぱっと思いついたら、オッケーなんです。「これはあのお客様に喜んでもらえそうだな、じゃあいける!」って(笑)それがひと段落したらまた考える。その繰り返しですね。
――なるほど、店内ポップのデザインや掲示の仕方もかなり工夫されている印象です。何枚もペタペタ貼るのではなくて、厳選されている印象です。こういうセンスって美容師をやっていても身につかないと思うのですが。
昔、ヴィレッジヴァンガードでバイトしてたんですよ。そこでの経験がポップ作りで活きていますね。買い物に行った時も、ポップや張り紙は見るようにしてます。特に女性物の化粧品のポップとかはとてもデザインが上手いのパクってますね(笑)
――街中からも常に情報をインプットしているんですね。あと“大人カワイイ”というサービス内容がキャッチコピーとしてとても良いですよね。言葉の作り1つとっても秀逸です。このコピーの着想を教えてください。
どちらかというと上の人向きのメッセージですね。いわゆる高齢化社会になってきて、いちばんのボリュームゾーンが50~60代じゃないですか。その次が30~40代、で20代が一番少ない。本来、“カワイイ”は下の世代にしか響かない言葉に思えるのですが、でもやっぱり30、40、50代の大人の人でも、女性として“カワイイ”って言われたいって思いはある。
全体のフォルムは大人なんだけど、ちょっと違うエッセンスを加えて“カワイイ”を作りましょうと。前髪一つでも、基本大人なんですけど、何か違うエッセンスを取り入れたほうが、日々の生活が明るくなると思うんです。
――“キレイ“とはまた違うんですか?
よく街中でも、女性でも男性でも何か手にとって“カワイイ”っていうじゃないですか。“キレイ”とはあまり言わない。“キレイ”っていうのは、景色とか造形物とかに言うんですよね。身近なものに対しての誉め言葉は“カワイイ”なんですよ。
――確かに“キレイ”は少し距離がある気がしますね。
はい。「お綺麗ですね」より「可愛いですね」の方がなんか近い感じがしますね。
――実際に門前仲町のお客さんの層はどんな感じですか?
今は30~50代が多いかな。なので「子育てもするし、オシャレもしたい!」っていう層が多いですね。
――なるほど、客層としても“大人カワイイ”というキャッチコピーが見事に刺さってますね。
そうですね。そこはぶれないようにしていきたいですね。
――門前仲町は住宅地のイメージですが、お客様は地元の方が多いですか?
住宅もあるし、お店もあるし、企業もあるし、ほんとに昔ながらの下町って感じですね。
ここだと他の場所からのアクセスも良いので、遠い人だと葛西からも来てくれるし、錦糸町からもくるし、豊洲、日本橋からも。かなり広範囲から来てくれていますね。
――遠いところいらっしゃるような、リピーターの方々も大切にしていらっしゃるんですね。
コロナ禍になる前までは新規の集客もかなり力を入れていたんですよ。ただ、コロナの状況になってからは、今でも変わらずに来てくれるお客様が第一ですね。。ずっとついてきてくれる人を大事にしようと。もちろん新規の方も大事ですけど、どっちかといえば比重はいつも来てくれる方の方が大きくしてますね。
――本日はありがとうございました!美容師さんの視点だけではない店舗や人材のマネジメントや、メッセージの作り方&届け方など、多くのことを学ばせて頂きました!とても勉強になりました。
なんか普通の美容師っぽくない話になっちゃいましたね(笑)何が正解なのか探りながらやっていますね。この業界はまだまだ発展途上ですし、究極のビジネスモデルが完成されてるわけでもない。先があるってことですね!誰がそれを見つけるんだろうって感じですね!
【店舗情報】
◆アメリ エ ギャルソン 門前仲町店(amelie et garcon)
電話番号:03-3820-2646
住所:東京都江東区門前仲町1-6-1
営業時間 : 10:00~19:00 (縮毛矯正最終受付16:00 カラー/パーマ最終受付17:30 カット最終受付18:00)
定休日:火曜定休
http://amelie-et-garcon.com/amelie-nakacho/