Beautwell Stylist

非日常な空間からカウンセリングとヘナで「おしゃれ」をお手伝い

今回は千葉県習志野市大久保で美容院を経営されている「ibs hair(アイビスヘアー)」の鈴木好之さんに独占インタビュー。

鈴木さんは理容師から転向して美容師になられました。

理容師の経験を生かしながら、自らのスタイルを築いていきます。

美容師の基本である「カウンセリング」と自らが調査した「ヘナ」でお客さんの夢を叶えていくそうですよ。

では、どのようにアプローチされているのでしょうか?

◆非日常な空間を演出した美容室

― ibs hairさんは、いつお店をオープンされたのでしょうか?

今から約9年前で、10月で10年目を迎えます。

― どうして京成大久保駅前で美容室を経営しようと思われたのでしょうか?

独立する際に、以前働いていた美容室から極力離れようと考えていました。

千葉県鎌ヶ谷市が自宅なので、通勤圏内であることも加味して決めました。

物件を探しているうちに、京成大久保駅近くで、たまたま空いているということで。

ちなみに、この周辺で働いたことは一度も無く、縁もゆかりもありません。

― 美容室を見渡すと、カットなどの施術をする場所と待合室を完全に分けておられますが、何か意識をされているのでしょうか?

来店されたお客さんが、この空間において日常から少しでも離れられるように考えています。

つまり非日常な空間です。入り口からすぐに施術するスペースがありますとそのまま入ってきて、はいどうぞということになってしまいます。

せっかく来店いただいたのですから、ここに来た理由として少しでもリラックスできるように設定しています。

― どちらかというとゆっくりとした時間をお客さんには過ごしてほしいでしょうか?

はい、それを一番に考えていまして、特にリラクゼーションの時間を長めにしています。

そんなに長く時間をかけなくてもと思われる方は不向きでしょう。

店舗の場所に関しても、商店街や人通りに面していないことが決め手になりました。

お店が目立たないのはビジネスとして失敗なのかもしれませんが、いつも来ていただいているお客さんに伝われば、それも失敗ではないと思います。

ここまで9年お店を続けてきましたが、お客さんにまた来ていただければという想いが一番大きいです。

◆理容師のキャリアを閉じてまで始めた美容師のキャリア

鈴木さんは店を構えるまで縁もゆかりも無かった習志野市大久保で、9年間お客さんにまた来てほしいという想いを抱きながら、店舗経営を続けてきました。

ではなぜ、鈴木さんは美容師になろうと思ったのでしょうか?意外なエピソードを教えて下さいました。

― 鈴木さんはなぜ美容師になろうと思ったのでしょうか?

美容師になる前は、約10年間に渡って理容師をしていました。

24歳の時に独立し、5年間理容院の店舗経営をしていました。美容デビューとなれば、遅いほうですね。

― どうして理容師を辞めようと思われたのですか?

男性のお客さんが理容院、床屋から離れていったからです。

やめようと思った当時、このままであれば自分のやってきたことが生かせないと考えていました。それがきっかけです。

男性がメインの業界なのに、なぜか男性が来ない。女性も利用してくださいますが、結局は美容室へ行くことになります。

― 理美容という選択肢もありましたか?

理容師の免許を持っていて美容をすると考えた場合、無免許で美容というわけにはいかないので、改めて美容の免許を取得するために、美容の専門学校へ通いました。

当時は通信課程があって、仮に学生でもインターン・見習いという制度がありましたので、お客さんの髪の毛を触ることができました。

しかし、現行の法律では免許を持たないとお客さんの髪の毛を触ることが禁止されています。

タイミング的に遅ければ、美容師になるチャンスはなかったかもしれません。

― 美容となれば技術も変わると思いますが、どのように穴埋めをしていかれたのでしょうか?

もうそこはゼロスタートです。

20代、年下の先輩から技術などを教わることになります。

経営していた理容院を閉めたので「なぜ、店閉めてまで美容業界に来ているの?」と言われることもありました。カットの勉強も当然やり直しです。

― 美容業界の巨匠を参考にすることはありましたか?

ヴィダル・サスーンはアメリカ系ユダヤ人で理容師です。

日本の理容業界、ある意味ヴィダル・サスーンのカットなのです。

そういう意味で、意外と抵抗はありませんでした。海外留学も一時期よぎりましたが、国内だけでカット技術の勉強をしていました。

◆「カウンセリング」を通して確実に「おしゃれ」を演出

鈴木さんは理容師から転向して美容師になりました。では、鈴木さんにとって「おしゃれ」をどのように捉えているのでしょうか?

― 鈴木さんは「おしゃれ」と聞かれたときに、どういうことを想像しますか?

「おしゃれ」という部分では、お客さんが希望していることを提供できるのかです。

業界の言葉で「美容師イコール魔法使いではない」とありますが、お客さんはある意味素材であって、持っている素材を活かすことやどこまで提案ができるのかが重要です。

どんな美容師でも限界はあります。私が確実に提供できるものから、お客さんの「おしゃれ」を手伝うことにしています。

― お客さんにとって希望の髪型にしてもらいたい場合、どのようにアプローチをすれば良いでしょうか?

それがお客さんと実施する「カウンセリング」の中で、髪の毛の状態や過去のカットなどの履歴などを確認しながら、お客さんと意見の相違にならないように作業を進めていきます。

― 「カウンセリング」ではどこに力を入れていますか?

やっぱり、今日ここでお客さんが何を求めているのかです。これまで髪をのばしてきたけど、季節の要因や会社から注意されたとか、前回の来店から変わることもあります。ただ、要望が安定されているお客さんの方が多いです。

― 希望の髪型にしていくためには、すぐに解決できない場合もありますか?

長さが足りないことや事情によって変えられないなどは、デザインによって考えることもできます。

お客さんで何度も染めてしまい、髪の毛をほかのパーマ液やカラー剤で施術させてもらうのが難しいこともありますので、それを「カウンセリング」でお客さんに納得していただくことが必要です。

― 極度に高いものを求めてくるお客さんはいらっしゃいますか?

パーマであればまっすぐの髪の毛を曲げて、ストレートの場合は曲がっていた髪の毛をまっすぐにするなど、今日のこの瞬間で変えて差し上げることは可能です。

しかしその後は、身だしなみや美の手入れをお客さん自身がすることになりますので、明日からの再現をお客さんでも手軽にできるのかが大事になります。

悪い言い方をすれば、今日この瞬間をごまかすことはできます。そうなれば「この瞬間だけ?」となり、これは日常の「おしゃれ」とは違ってしまいます。

結婚式などはその日限定なのであって、生活における「おしゃれ」や身だしなみの「おしゃれ」は明日からも持続させていかなければなりませんから、それをお手伝いさせてもらっているという感覚です。

― 「カウンセリング」をする上で気を付けている点はありますか?

会社や学校などへ出かける際に自分の身だしなみにどのくらい時間をかけているのか、何か道具を使用しているのか、どんなお手入れをしているのかなどを確認しています。

今日はできたとしても、明日からやりにくいとなれば困りますから。

― 髪型以外でお客さんとお話をされることはありますか?

身だしなみにおいては、お客さんが自分のスタイルとして決めていることが多いです。

本来ならばトータルでアドバイスすれば良いでしょうけど、結局は首から上で話をする機会が多いです。

10年前と違って、日本人は「右にならえ」ではなくなっています。

自分のことを主張するお客さんも増えていますから、そこも「カウンセリング」で確認しています。

― 「カウンセリング」で悪い内容はお客様へ極力伝えるようにしていますか?

結局、リスクオンやリスクオフのどちらなのかを考えないといけません。

もし拾わずに進むと、お客さんのコンプレックスである額が目立つ結果となれば、それは失敗になります。

だからこそ「カウンセリング」で情報を拾っていかないといけないのです。

― 理容師の経験から役に立っていることはありますか?

理容師の頃は「俺がこうやる」という感覚が強くありました。

私は美容師に転向して、自分で提供しているものがお客さんにフィットできる状況なのかを考えるようになりました。

お客さんの意向をしっかり汲み取って、お客さんが望んでいることを明日からでもするとなれば大変になります。

あくまでもお手伝いというスタンスから提案をしますが、場合によってはあきらめてもらうこともあります。

― 要望を聞きながら、鈴木さんで着地点を決めることもありますか?

ある程度計算はしていますが、こればっかりは答えがないところで、私なりに希望通りにできたとしても、私の言動が良くなかったことや類似されたと捉われてしまうこともあるでしょう。

そこが人間同士難しいところで、100点は難しいですから。

― 美容寿命についてはどのような考えをお持ちでしょうか?

皆さん個々の問題だと思っています。

見た目だと髪の毛、メイク、服装や持っているアイテム、小物類で変わります。

中身となれば、健康に気を使ってどんなものを食べることや飲むことに気を付けるだけでなく、補助や助けてもらうことも必要です。

そこで的確なものを見つけて元気に長生きすることなのか、それともそういうことは意識しないで好き勝手に進んでいくのか、もう個々の時代ですから。

◆「ヘナ」を使うことでお客さんの夢をかなえる

鈴木さんは理容師と美容師の経験から、お客さんと丁寧に時間をかけて「カウンセリング」をこれまで積み重ねてきてから、現在があります。

実はもう一つ、理容師と美容師の経験から差別化としてお客さんに提供しているものがありました。

― アイビスヘアーさんでは、他の美容院と差別化されているものはありますか?

私はこれまでもお伝えした通り、理容師と美容師の両方で仕事をしてきました。

大型店やサロン、個人店で働いてきた経験から、お客さんへ何を提供するべきか考えていた時に、以前働いていたサロンでインド産の草木から作られている「ヘナ」に出会いました。

お客さんへ提供する際には、私がきちんと精査しないとお客さんの体調にも影響します。

近年の少子高齢化から、女性はずっと自分の若さや美を求めています。

ではなぜ「ヘナ」なのか。石油が原材料の化粧品やカラー剤で、お客さんの髪の毛を施術するのが一般的ですが、そういう商品に不向きな体質のお客さんもいらっしゃいます。

それでもお客さんは「綺麗でいたい、若さを保ちたい」という願望をお持ちです。

そこで私は天然の草木から作られている「ヘナ」を使い、お客さんの容姿や美のお手伝いをしています。

私の中で「ヘナ」はお客さんの美を助けるものだと思っています。

― 「ヘナ」はどんなタイプの人に効果的でしょうか?

石油系・化学系のものを使いたくない人やアレルギー症状を持っている人、ドクターストップがかかっている、がんに罹ってしまった人です。

「ヘナ」はインドが原産地で何千年という歴史がありますので、ここまで続いている理由があるのでしょうから。

基本的にカラー剤やパーマ液は、本来の自分でない部分に対して使いますので、髪の毛も含めて痛めることになります。

できればリスクがあるものは使いたくないですし、体質的に問題ない方からすれば「なぜそれをやってくれないの?」と思うでしょうが、どうしてもカラーをしたいが体質的に無理という方に「ヘナ」を提供しています。

◆「カウンセリング」がうまくいけばストレスは溜まらない

ここまでは美容師としてお客さんの「健康」に対する姿勢を伺いました。では、鈴木さん自身は健康面に対して、どのように気を使っているのでしょうか?

― 鈴木さんは自分自身の健康に対して、気を使っている部分はありますか?

意外と不規則なところもありますが、一番は睡眠をしっかりとることです。一日6時間は睡眠時間を確保しています。

仕事を離れたらなるべく考えないようにしていますが、オン・オフの切り替えはある程度するようにしています。

あとはストレスをなるべく溜めないようにしています。

― 美容師にとってストレスが溜まる瞬間はどんな時でしょうか?

カウンセリングをさせてもらっているときに、お客さんが希望されていることのお手伝いが難しい時です。

毛髪の状態上できない場合に、私は代替え案を出しますが、お客さんと折り合いがどうしてもつかないことがあります。

お互いに納得できないと施術をスタートすることはできません。ここで無理をすると美容業界としては事故になってしまいますから。

― 「カウンセリング」は施術前におおよそ終了させてしまうのでしょうか?

いや、施術しながらもあります。

お客さんから「ここまでやってもらった上でその時に判断したい」ということもありますので、その段階でリスク面も含めてお客さんと合意することが大前提となります。

― 鈴木さんは「カウンセリング」ではっきりと言ってしまうタイプでしょうか?

私ははっきりと言ってしまうタイプだと思います。

お客さんによっては施術前でも「今日はもういいです」という方もいらっしゃいます。

希望しているものから全くかけ離れたものになってしまいますし、お互いに意思の疎通もできなくなりますから。

商売としてお客さんからお金を頂いていますので、お客さんが目指している美とか容姿に対するものですから、これは男性でも女性でも共通事項だと思います。

― 作業する前の「カウンセリング」で8割方、施術をするかしないかが決まるわけですね?

はい、そうです。ただ、何回も来ていただいたお客様に関しては回数が増えるほど好みがわかりますので、カウンセリングにかける時間は減っていきます。

それでもお客さんによっては「今日はいつもと違う」というのもありますから、勝手な思い込みでスタートすると「そういう気分ではなかった」とお叱りを受けてしまいますので注意が必要です。

― ニーズを拾うのは美容の方が大変ですか?

理容師の時は、ここまでニーズを拾う必要がありませんでした。

男性と女性を比較すると、女性のほうが大きな変化を求めます。

男性は会社の意向とかで、選択の幅が狭まってしまうようです。

◆やっぱり「カウンセリング」がキーワード

鈴木さんは「カウンセリング」でお客さんを幸せにしようと、日々励んでいるようです。

では、美容室選びに困っている人にとって、美容院をどのような観点で選ぶべきなのでしょうか?

― 美容室選びで困っている人にとって、どのような観点で美容院を選ぶべきでしょうか?

人間は初見から30秒で印象が決まると言われています。

女性のお客様だと特に見た目で決める傾向があるようです。

髪の毛を触ることになりますし、シャンプーや髪を乾かすにしても、そこで本能的に大丈夫なのか無理なのかとなります。

実際、あるサイトで掲載されている私の写真から「こういうことをやってくれるのかな」という印象を持って来店されることもありますが、こればかりは持って生まれたもので仕方がないと思っています。

― アイビスヘアーさんに関してはどんなキーワードで引っかかってきますか?

いろいろありますが、やっぱり「カウンセリング」です。

美容業界では提案力や安定した技術、商材の提供が重要ですけど、お客さんも十人十色で今日来ていただいた時の「カウンセリング」がポイントになります。

美容師として経験年数を重ねても「カウンセリング」は基本であり、改めて基本は難しいと思います。

― 人と話をすることは好きですか?

はい、比較的好きです。

閉鎖された空間で1対1の会話から、お客さんに安らぎを感じてもらえるようにしないといけないですし、この店の場所による地の利は生かされていると思います。

― 鈴木さんが美容室を経営する上で一番大事にしていることは何でしょうか?

もう一度来ていただくということです。

簡単そうで難しいですが、美容業界であれば基本の部分となります。

【取材後記】

お店の場所は通りに面していますがそれほど目立つ場所ではありません。

しかし、店舗内では仕切りを設けるなど、鈴木さんは日常を忘れるような空間づくりをされていました。

その中でキーワードとして挙がったのが「カウンセリング」と「ヘナ」です。

鈴木さんは「カウンセリングは美容師では基本となる作業」と話されています。

この「カウンセリング」の出来次第でその後の展開が変わりますし、カラーが体質上難しい場合は「ヘナ」を使用したカラー剤を提供してお客さんの希望を叶えていきます。

鈴木さんが実施する「カウンセリング」は基本に忠実で、お客さんが望む髪型を自身の経験を通してアドバイスをしていきますが、大切なことはお互いに納得の上で施術を進めることです。

お客さんに気持ちよく生活を送っていただくためにも、鈴木さんはできないときほどはっきり言いきります。

しかし、それがお客さんのためでもあります。これからも、基本に忠実で美容室経営を続けてほしいところです。

ibs hair(アイビスヘアー)店舗情報

Address:千葉県習志野市大久保1-25-13 寺内ビル1F
Tell:047-407-3056

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