Beautwell Stylist

お客様に提供したいのは「楽にカッコよくなれること」【Kitri hair キトリ(新富町)】

今回は、東京都新富町駅のKitri hair (キトリ)の本さんにインタビューしました!

本さんはモッズ・ヘア来在籍25年、数々の実績を積まれ2011年に独立、センス&技術面とビジネス面にも長けた、まさに歴戦の美容師さんです。さらには、このインタビュー当日に緊急事態宣言が発出されました。今回は急遽、少し趣向を変えて「コロナ禍において、美容室が生き残るために必要なこと」と題して、様々なことを教えてもらいました。

――昨年に続いてまた緊急事態宣言が発出されました。どの美容室さんも大変な時期だと思うのですが、どのような影響が考えられますか。

2020年の4月~5月に関しては、毎月来ていたお客さんが3月に1回になったり、全体的に来客のサイクルが空いている傾向にありました。よって、年間に12回来ていたお客さんも来客回数が10回になるので、どの店舗も通年での売り上げには影響が出ていると思います。

また、ビジネスマンの方々がテレワークに移行された影響が大きいですね。男性の方だと在宅ワークが増えると髪の毛が伸びていることも気にされなくなくなりますので、来客の頻度も下がる傾向にあると思います。

――ということはCOVID-19の直接的な影響というよりも、生活様式が変わったことが影響しているんですね。

そうですね。みんなが“間隔が空けて髪を切ること“に慣れてきちゃっているんだと思います。

――モッズ・ヘアに25年在籍され、美容師キャリアも長く、経営者としてご活躍されている本さんには是非お伺いしたいのが、今回のような大変な時期を美容師がどう生き残れば良いか?です。このキトリというお店も、店舗を立ち上げられて今年で10年目になりますよね。

そうですね。今年の秋で丸10年ですね。

――この10年間いろいろなことがあったと思います。コロナ以外にも様々な苦労があったかと思いますが、どのようなことが思い起こされますか。

やっぱり印象的なこととしては、スタッフの入れ替わりですね。自分のサロンのテイストに合った教育するのですが、そのスタッフたちもやがては、自分にお客さんが付き始めると「自分のお店を出したい!」と思うようになります。

私は長くモッズ・ヘアにいましたが、何十年も1つのサロンに在籍するスタッフって、この業界少ないんです。自分でお店をやろうと思ったらやれちゃう業界なので。そこ(独立するタイミング)には個人差はあるのですが、割と最近はあまり先のことを考えずにお店を出しやすいようになってきました。

それは、スタッフとお客さんがSNSで繋がりやすくなったのも要因としては大きいです。スタッフは独立の際に、いま在籍しているお店からお客さんの顧客情報(電話番号など)を持ち出すことはできないのですが、今はSNSでお客さんとスタッフが直接繋がっちゃうんです。

だから独立前に「今度、僕ここでお店を出しますよー」という告知をお客さんに伝えることができる。最近は、お客さん集めもSNSに長けている子の方が上手くできるので、お客さんを持っていなくてもお店を出しやすい状況ではありますね。

自分が30何年やってきたなかでは、そのあたりの状況は変わってきたなって思いますね。
自分達の頃もいずれはお店を持ちたいと思ってはいたのですが、それよりまずは技術をみにつけて良い仕事をしたいという想いでやってたんですけどね。けじめをつけて出ていくという、そういう方が多い時代ではあったのですが…

僕は美容師にとって大切なのは“技術“だと思っています。ただ、現在は技術よりもSNS運用が上手な子たちのほうがお客さんを流行らせてしまっている状況になってきていますね。今後の5年後、10年後どうなるかわかりませんが…

――もうそこまで来てるんですね。しかもそのSNSでの集客はコロナ禍においては有効な集客ルートになりそうですね。

そうですね。情報は発信できる点は良いと思いますね。それはそれでアリだし、良いことだと思うのですが、長くお客さんに来てもらうためには、その美容師が持っている“魅力”や“技術”が重要だと思っています。私たちの仕事はリモートではできないので、最終的にはテンポでのサービスや技術が重要だと思います。

――でも意外でした。この長い期間のサロン経営でも、思い起こされた苦労話は“人材“なんですね。

はい。実際この10年、規模を縮小しているサロンさんが多いですね。人の教育には苦労している方が多いのかなと思いますね。

このような状況でも、美容師は売り手市場が続いています。慢性的に美容師が足りない状況ですね。だから、サロン側は人材確保のために雇用の条件も良くして、働き方も楽にすることが求められる。

教育も体育会系に近いノリはあったんです、時代が移り変わって、それも変わってきたのですが、緩く甘くなってきたうちに変わってきました。そうなってくると飴と鞭を使い分けないといけないと思うんですが、

――美容師の技術面のレベルが下がってきているようには感じますか?

めちゃくちゃ下がっています。自分が興味のあることだけを上手になる美容師さんが増えてきている傾向にありますね、例えば自分がカラーリング好きだったら、カラーだけが得意になったり。それだとカラー専門店であれば、何も問題は無いのですが…

――なるほど、具体的にはどのあたりの技術が下がっているように感じますか?

一見、派手でかっこいい髪型なんだけど、次の日に自分でスタイリングやったらまとまらないとか、がありますね。

――なるほど、次の日から自分でスタイリングすると上手くいかないのは、自分のスタイリング技術だけでなく、カットにも原因があるのかもしれないんですね。

そうですね。柱の部分がしっかりとしていないといけません。そうじゃないと、一度、洗っちゃうと形がまとまらなくなっちゃう。カットの直後は美容師さんがセットするので、その時は素敵に見えるのですが、、、。どうしても目立つ部分と言うか、良く見える部分に力を入れちゃうんです。

これまでの美容師さんはまずはベーシック(基本)を習って、その後、オプションとして応用的な技術を学んでいくのですが。最近は多くの美容師さんがベーシックをやりたがらないですね。

理由は、そのベーシックでつまずいちゃうからです。基本を習得するの最も大変なんです。土台を身に付けずに自分がやりたいことだけをやるから、美容師として長く続けることができなくなってきていますね。

――なるほど、とはいえお客さんってその辺りのヘアカットの基本による違いって、気づかないです。自分のスタイリングが悪いって思ってしまっているお客さんが多いと思います。

重要なのは再現性ですね。ちなみに私自身、美容師ではあるのですが、自分の髪型に関してはめんどくさがりなんです(笑)だから私がお客様に提供したいのは「楽にカッコよくなれること」なんです。洗髪して乾かしただけでも、そのまま形になるのが理想だと思う。

多くの方は(凝ったスタイリングを)若くておしゃれに敏感な時しかやらないし、スタイリングに興味ある人しかやりません。さらには、大人になって仕事が忙しくなると、洗って乾かして、ワックスをつけるぐらいしか時間が無い。でも、洗って乾かすだけでもベースがしっかりしていれば、あとはスタイリング剤を少しつけるだけで大丈夫。

それが理想。しかもそれが長持ちするという。それがカットの技術だと思います。ベースカットがしっかりしていればいける。

――その本さんの確固たるお考えが、キトリというお店にも反映されているんですね。

はい!自分のスタンスを崩さずに、基本ナチュラルなスタイルにちょっと時代に合わせた流行りを入れていく。もちろん、お客さんにも様々なタイプがあるので、冒険したがらない方を無理やり奇抜なスタイルにしても逆効果なので、お客さんに合わせたスタイルを提供しています。

――こちらの商材にもこだわりがあるように思えます。

そうですね。オーガニック系のモノから様々なものを取り入れていますね。うちは幅広いお客様が来られるので、中にはオーガニック系を好む方もおられます。私のお客様はご年配の方も多いのですが、スタッフのお客様はカラーを好む若い方もいるので、幅広い客層のニーズにお応えできるようにしていますね。

――貴重なお話をありがとうございました。たった10年でここまで美容師の状況が変わっているとは思いませんでした。

この10年で流行しているSNSも変わりましたね。これからも変化はあると思います。ファッションやヘアスタイルも流行が回りますので。

教育面については、もっと変化しちゃうかもしれません。むかし特有の厳しかった教え方や基礎を重んじた部分が…なんというか…

――…消えちゃうと少し寂しいですよね。

はい。でも技術的に優れたヘアスタイルを求めている方はまだまだ多いので、そういった方々のカットは私たちにしかできないのかなと思いますね。最後に強いのは、技術と接客だと私は思います。

――ありがとうございました!

【店舗情報】

◆Kitri hair (キトリ)
電話番号:03-6280-3230
住所:東京都中央区入船2-2-5
定休日:毎週火曜日, 毎月第三水曜日
営業時間:月・水・土曜日11:00〜20:00, 木・金曜日11:00〜21:00, 日曜日・祝日10:00〜19:00
http://kitri-hair.jp/index.php

▼本さんのモッズ・ヘア時代の同期、青海さんのインタビューはこちら!▼

-Beautwell Stylist

© 2021 ビュートウェルスタイル Beautwell Style