執筆者
管理栄養士 大屋佳奈 (おおや かな)
給食管理の仕事を主軸に特定保健指導やレシピ開発、国家試験対策についての情報発信、学生相談、料理教室アシスタント、コラム執筆など多岐にわたり活動中。また、イラストレーター・動画クリエイターとしても活動の幅を広げている。
こんにちは!突然ですが、皆さんは私たちの身体の臓器である『腸』の大切さについてどこまでご存知でしょうか?
腸の役割は消化吸収だけではありません。
実は、腸には身体の免疫機能の約70%が集まっていると言われ、全身の健康を支える重要な臓器なのです。
それだけ重要な臓器であるからこそ、腸内環境が悪くなってしまうと消化吸収機能や免疫機能の低下だけでなく、便秘や肌トラブル、メンタル、肥満や老化、冷え性など身体中あちこちに不調が現れてしまいます。
腸内環境を整えることは健康寿命を伸ばすうえでも、美容寿命を延ばすうえでも大切となります。今回はそんな腸内環境を整えるための『腸活』について、そして腸活におすすめの食材である『酢』についてお話したいと思います。
腸活とは
数年前から流行り始めた腸活。詳しい内容は知らなくても言葉だけ耳にしたことはあるといった方が大半ではないでしょうか?
腸活とは、腸内の環境を整えることで腸が持つ本来の力を取り戻して健康維持、増進をはかることを言います。
腸内環境を整える具体的な方法は、
・食事を見直す:栄養バランスを整える
・腸内の善玉菌を増やす:発酵食品やオリゴ糖、食物繊維などを多く含む食品などを積極的に摂取する
・運動習慣、生活習慣を見直す:睡眠不足、ストレスなどから起こる自律神経の不調を整える
…などが有効と言われています。
腸活によって得られるメリット
皆さんは私たちの腸と脳に「腸脳相関」という言葉があるほどお互いが密接に関わり合っていることをご存知ですか?
腸は「第二の脳」と言われており、脳からの指令がなくても独自のネットワークで活動することが可能な臓器です。
例えば、緊張したりストレスを感じたりするとお腹が痛くなったり便意をもよおしたりしますよね。これは自律神経を介して脳が腸に刺激を与えているからと言われています。反対に、腸内環境が乱れたり、腸自体の状態が悪くなると脳に不安感が増すといった報告があり、腸の状態が脳に影響を及ぼしていることがわかってきました。
中でも、安心感や幸福感などをもたらし「幸せホルモン」として有名なセロトニンは腸で作られていて、体内のセロトニンの約90%は腸に存在しています。腸内環境が整った状態だと十分な量のセロトニンが脳へ送られるため、精神状態が安定します。一方で、腸内環境が乱れているとセロトニンが足りずにイライラや不安感の原因になります。つまり、腸活で腸内環境を整えることで心も整えることができるというわけです。
腸内環境は日々の生活習慣や食事習慣、運動習慣などに大きく左右されます。さて、ここまで読んで頂いて、「あれ、もしかして自分の腸は・・・?」と感じた方がいらっしゃるのではないでしょうか?そんな皆さんの腸内環境を簡単にセルフチェックできるチェックリストがあるんです!その結果は『腸年齢』という指標でみることができます。
下記のチェック項目で当てはまるものにチェックを入れて、個数を覚えておいてください。
腸年齢チェックテスト
生活習慣に関する質問
□1日の運動量が30分以下
□たばこをよく吸う
□顔色が悪く、老けて見られる
□肌荒れや吹き出物に悩んでいる
□おならが臭い、または臭いと言われる
□寝つきが悪く、寝不足
□ストレスを良く感じる
食事に関する質問
□朝食は食べないことが多い
□昼食はいつも慌ただしく短時間で済ます
□食事の時間を決めていない
□野菜不足(1日の摂取腸350g以下)だと感じる
□肉が好き
□牛乳や乳製品が苦手
□週に4回以上、外食をする
□アルコールを毎日飲む
トイレに関する質問
□便の時間が不規則
□いきまないと出ないことが多い
□排便後も便が残っている気がする
□便が硬くて出にくい
□便が硬くて出にくい
□コロコロとした便が出る
□ときどき便がゆるくなる
□便の色がこげ茶、もしくは黒っぽい
□出た便が便器の底に沈みがち
□便が臭い、または臭いと言われる
結果
チェックが4個以下=腸は実年齢以下
チェックが5~9個=腸は実年齢より少し老化
チェックが10~14個=腸は実年齢よりかなり老化
チェックが15個以上=腸は実年齢よりプラス30歳以上
参考文献:辨野義己監修『自力で腸を強くして一生健康!』宝島社2015年
https://bifidus.jp/choselfcheck/
さて皆さん、結果はいかがでしたか?
チェックが10個以上あった方は特に腸内環境が乱れている可能性があるので、今日をきっかけに生活習慣や食事習慣、運動習慣を見直して腸活を始めて頂けたらと思います!お手軽にできる腸活習慣を次のトピックで紹介しますね!
お手軽腸活習慣
ここでは今からにでも始められるお手軽腸活習慣をお伝えします。
朝起きたらご飯の前にコップ1杯の水を飲む
朝水を飲むことで腸が目覚めます。胃に水の重みが加わることで胃の下の大腸の上部にまで刺激が伝わり、腸の蠕動運動が活発になることで自然な便意が誘発されます。水は刺激を与えるだけでなく、水分によって便が柔らかくなり、排便をスムーズにする効果もあります。
朝一で冷たい水を飲むと胃や腸がびっくりしてしまうので、常温または少し温めた水を少しずつ飲むようにして下さいね。日中もこまめに水分補給をすることで便秘対策にも効果があります。
朝食をしっかり食べる
朝食には寝ていた臓器を起こす目覚ましの役割があるのですが、その他にも食べ物が胃に入ることで腸への刺激となり排便を促す「胃・大腸反応」を誘導します。
朝食を抜いてしまうと、この排便を促すシステムが正常に機能しないため、腸が動かず便意が起こりません。
こまめな運動習慣を作る
リモートワークの推進や引き続く自粛生活で、今までより運動量が減ってしまったという方がいらっしゃるかと思います。姿勢が同じ状態で何時間も過ごしていると、腸の動きも血流も悪くなってしまいます。
腸に外側から刺激を与えるためにも、1時間に1回は尿意がなくてもお手洗いに立ってみたり、腰を捻る動きや肩を回して肩甲骨を動かすなど数秒でできる運動をこまめに行うことも大切です。
前編はここまで!
後編は『腸活と髪の毛や頭皮との密接な関係』のお話から再開させていただきますね!