執筆者
管理栄養士 酒井葉子
(えいようJoin登録)
幼少期アトピー性皮膚炎に悩み、身体の内側から見直す必要性を感じ、管理栄養士を目指して進学。大学卒業後は、給食委託会社や有床クリニックで給食管理業務に携わった後、保健指導や医療機関での栄養相談に従事。現在は、保健指導に従事する傍ら、食事セミナーやコラムの執筆を行う。「楽しく美味しく食べる」をモットーに、食事を通してコンディションを上げるためのお手伝いをしていくために活動中。
冬から春は、季節の変化と共に環境の変化も訪れます。そのため、体調を崩してしまいやすい方も多いのではないでしょうか。
季節や環境の変化に順応するためには、腸内環境を整えて免疫力を高めることが大切です。
食事で腸内環境を整え、免疫力を高めていきましょう。
免疫力とは
免疫力とは、身体に入ってきたウイルスや病原菌などの異物に抵抗する力のことをいいます。この免疫力が下がると、体内に異物が侵入し、体調不良を招くことにつながります。
免疫力を高めるためには、腸内環境を整えることが欠かせません。
病原菌などの異物は口から侵入し、腸などを通して体内に入っていきます。そのため、腸管には免疫細胞の60%以上が存在し、異物の体内への侵入を防ぐ働きをしています。良い腸内環境が免疫力の高い身体につながります。
腸内環境を整える食事
腸内には、おおよそ1000種類、100兆個の細菌が生息しているといわれています。
腸内にいる細菌は、良い働きをする善玉菌、悪い働きをする悪玉菌、どちらの働きをするともいえない中間菌に分けられます。もっとも多く存在するのは中間菌で、ついで善玉菌、悪玉菌の順に存在しています。
悪玉菌は腸内に一定量存在するものですが、生活習慣が乱れて増えすぎると、腸内環境を悪化させます。
逆に善玉菌が増えると、悪玉菌が増えることを抑え、腸内のバランスを整えます。そうすることによって、腸内での免疫力が高まり、ビタミンの産生を促して体調を整えることが期待できます。
腸内環境は便の状態でチェックしよう
腸内環境が良いか、悪いかを簡単に判断する方法としては、便の状態をみることです。
・理想の便の状態
▢ 黄色~黄色がかった褐色
▢ 臭いがあっても臭くない
▢ 形状は柔らかく、バナナ状
良くない便の状態
▢ 黒っぽい色
▢ 臭い
腸内環境を悪化する生活とは
腸内環境は、たんぱく質や脂質の摂り過ぎ、不規則な生活、ストレス、便秘などによって悪化していきます。
そのため、食事バランスや生活リズムを整えて、ストレスを抱えないことが大切です。
食事で腸内環境を整えよう
最近は糖質オフブームもあり、主食を抜くという方もいるのではないでしょうか。また、食事の時間がなかったり、食事量は少ないけど嗜好品に偏った飲食になったりするという方もいるのではないでしょうか。
主食を抜くことでたんぱく質や脂質に偏った食事になり、洋菓子やスナック菓子など嗜好品に偏ることで脂質の摂る量が多くなり、食事バランスの乱れにつながります。このような食事を続けていると、腸内環境は乱れてしまういっぽうです。
腸内環境を整えるために、主食、主菜、副菜を揃えて食べることが大切です。
食事バランスの整え方
食事を摂る時には、主食1品、主菜1品、副菜1~2品を揃えることでバランスが整います。
場合によっては、主食と主菜がセットになっているメニューや主菜と副菜がセットになっているメニューなどがあります。こういった場合は、足りない料理を足せるとベストです。
・主食:ごはん、パン、麺類などを使った料理
・主菜:肉、魚、卵、豆腐・納豆などの大豆製品を使った料理
・副菜:野菜、きのこ、海藻を使った料理
主食・主菜・副菜がセットになった献立には、副菜1品足してバランスアップを!
カレー、ハヤシライス、中華丼、なべ焼きうどん など
+
お浸し、和え物、酢の物などを1品
主食・主菜がセットになった献立には、副菜を1~2品足してバランスアップを!
牛丼、かつ丼、鉄火丼、肉うどん、月見うどん など
+
サラダ、スープ(汁もの)、お浸し、和え物、酢の物などを2品
主菜・副菜がセットになった献立には、主食1品、副菜1品足してバランスアップを!
肉野菜炒め(回鍋肉、チンジャオロースなど)、魚のホイル焼き など
+
ごはん、うどん、そば などを1品
+
サラダ、スープ(汁もの)、お浸し、和え物、酢の物などを1品
良質なたんぱく質を摂る
良質なたんぱく質とは、肉、魚、卵などの動物性食品です。
これらには、体内で作ることができない必須アミノ酸をバランスよく含むため、毎食の食事のなかで1品を目安に食べるようにしましょう。
お肉は、選ぶ部位によってはたんぱく質が少なく、脂質が多くなることがあります。お肉は脂身が少なく、赤身が多い部位を選ぶことがベストです。
腸内環境を整える食事
腸内の善玉菌を増やすためには、健康に有用な作用をもたらす善玉菌である「プロバイオティクス」と腸内に存在する善玉菌を増やす「プレバイオティクス」を摂ることが必要です。
普段の食事のなかで、次のような食材を取り入れることがおすすめです。
プロバイオティクス:健康に有用な作用をもたらす善玉菌であるビフィズス菌、乳酸菌
▢主菜:納豆
▢副菜:キムチ、ピクルス、漬物、ザーサイ
▢乳製品:ヨーグルト、チーズ、乳酸菌飲料
▢調味料ほか:味噌、甘酒 など
プレバイオティクス:腸内に存在する善玉菌を増やす作用をもつオリゴ糖、食物繊維
<オリゴ糖>
▢主菜:大豆
▢副菜:玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、アスパラ
▢果物:バナナ
▢調味料ほか:甜菜、はちみつ など
<食物繊維>
▢主食:ごはん、ライ麦パン、そば
▢副菜:野菜、豆
▢果物:キウイ、バナナ、いちご など
執筆者
えいようJoin登録管理栄養士
酒井 葉子
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