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ヘアサロンと美容専門学校の「橋渡し的」存在になりたい【美容師兼メディア編集長(クラタさん)】

今回は美容師としてもご活躍しながら、WEBメディアの編集長も務めるクラタさんにインタビューしました!最初は会社に許可なく始めたというWEBメディアですが、実はクラタさんのある熱い思いがありました。クラタさんの美容師としての使命、WEBメディアの目的等について、お話を伺いました。

『TOOL MAGAZINE』というWEBメディアは、クラタさんの美容師としての活動とどう繋がっているのでしょうか?

『TOOL MAGAZINE』は、美容業界の知らないを解消するコンセプトとしたメディアです。美容業界は横や縦のつながりが薄い業界だと思っていて、特にヘアサロンと美容専門学校は、共通の想いはあるのに垣根があると感じました。私はヘアサロンと美容専門学校の橋渡し的な役割を担いたいと思って、美容学生さんを対象に取材させてもらっています。今の若者の想いや熱量みたいなものを美容師さん側にシェアしたり、美容師さんが思っていることを若者にシェアしたりしているメディアです。

先輩美容師さんと次世代の美容師さんのつながりを作るという目的でやられていると思うのですが、それは具体的にどういう効果を狙っていますか?

美容業界は離職率が高い業界なんです。様々な原因があると思いますが、学生さんが卒業後、実際に美容業界に入ってみたら「美容業界ってこんなところだったんだ…」とギャップを感じて辞めるのって、実は業界としてものすごく優秀な人材を取りこぼしてるんじゃないかと思うんですよね。

「このメディアで、美容業界の離職率を改善したい!」という、そこまでの強い目的意識があるわけではないのですが、本気で美容業界でやりたい若者たちのために、少しでも環境を整えたいと思っています。そのためにまずはヘアサロンと美容専門学校との間にある垣根を取り払う必要があると思いました。最初は違う目的でスタートしたメディアでしたが、メディアを運営していくうちにそういう方向になりました。

美容専門学校での2年間で「リアルな美容師の仕事を少しでもわかってもらいたい」というお考えなんですね。

そうですね。そうすることで、ギャップを少しでも解消できるのは業界の発展につながるのでhないかと思うのと、僕らサロン側としても「今の若者たちが何を考えて、どういうものを感じているか」を理解したうえで、今の時代に合わせて教育制度とかカリキュラムを組む必要があるんじゃないかと思うんです。また、専門学校側の即戦力化や現場力を伝える上でもこのメディアがゆくゆくは活用されるようになったらとは思っています。

学生のうちから美容業界のリアルを率直に伝えられると、美容業界を目指すのを止めてしまう子もいるのではないでしょうか?

少なくはないですね。美容業界ってキラキラしているイメージのある世界じゃないですか。でも、入ってみると意外と泥臭い業界です。上下関係がしっかりしていたり、人間関係がネックになることもあります。そういう理想と現実のギャップが早期離職の原因になるのかなと思っています。

ギャップが生まれないように早い段階で教えてあげて、そして判断してもらうみたいな情報の提供を心がけています。ただ悪いコトばかりではなく、美容業界のリアルには魅力も多く含まれています。それらも含めて包括的に伝えていくようなコンテンツにしています。

卒業後に希望いっぱいでヘアサロンに入ってきて、ギャップにやられると少しかわいそうですよね。

最近では、インスタなどのSNSで魅力的に感じたサロンに入る子が多く、実際に職場に入ったら、想像とは大きく違っていて辞めていくケースがとても多いんですね。

ただ、美容業界は職人の世界ですし、目指した世界で夢破れていくことはある程度は仕方ないと思います。でも、職場の環境や働き方が異なれば、輝けるかもしれない人もいるんです。そのことを知らないでこの業界を去るのはもったいない。横の世界を知っていたら、ひとつの職場だけが美容業界の全てではないことに気づくはずですから。

取材を通して多くの美容学生さんたちと話をしているかと思いますが、そんな中、クラタさんはどんなことを感じていますか?かつての美容学生と今の美容学生には、何か違いは感じますか?

今の若い子たちにとっての憧れの対象は、SNSでフォロワーがたくさんいる美容師なんです。かつてテレビ番組で流行っていたカリスマ美容師みたいに、誰からも認知されている美容師が憧れの対象ではなくなってきていますね。ただ、根本的には今も昔も、自分もしくは他の誰かが輝けるように、美容師という職業を選択するという点では大きな違いは無いように感じます。


【取材】18歳でも美容師になれるの知ってる?高等専修学校の国際共立学園を取材

クラタさんは取材で若い人へのインタビューや座談会もされているとのことですが、話についていくのが大変ではないですか?

取材に関しては、話を合わせようとはしないで、僕は何も知らないという立場で話をうかがうようにしています。学生さんに教えていただくというスタンスでいることが多いですね。根掘り葉掘り聞いちゃっているかなと思いますね。

取材をしていておもしろかったこと、ショッキングだったことはありますか?

僕らの頃は、カリスマ美容師という曖昧なものを目指していた。けど、今の若い人たちは、やりたいことが明確化していて、身につけたい技術が決まっている人が多いように思います。

ハイライトとかブリーチデザインの技術は目指したいけど、他の技術は目指したくないというようなタイプの学生が一定数いることですね。僕らの世代はオールマイティーにできることが当然と思っているのですが、若い人たちは別にそれを求めてないというのは衝撃的でした。パーマとか別にできたいと思ってなく、巻ければいいぐらいの感覚なんですね。そういうのがジェネレーションギャップなのかはわかりませんけど。

特化型美容師さんって今、多いんですが、そういう若い人たちがタッグを組んで、この人はカラー、この人はパーマやりますみたいな世界にこれからなるかもしれません。

ただ、生涯美容師をやっていく際に、ひとりのお客様の髪の悩みが変化してきたときに、別の技術が必要になってきます。そうなったときに、そのコたちがどういう壁にぶち当たっていくのかとは思いますね。

そもそもメディアはどういうきっかけで始めたのですか?

僕はただのスタイリストであると同時に、社内では人事部長でもあります。担当はおもに求人採用です。そのため若い人に接する機会がよくあり、もっとつながりを持ちたいと思っていました。求人活動には、サイトやSNSを利用するしかなかったのですが、僕は別の媒体で学生さんとつながれるチャンスが欲しいと思っていました。それがメディアを立ち上げたきっかけのひとつです。

もうひとつのきっかけはツイッターで、横のつながりの大切さを初めて知ったこと。「美容師さんってこういう働き方もあるんだ」とか、美容師さんの仕事の働き方の振り幅の広さと魅力に気づきまして、それを発信するメディアがあったら面白いと思い、僕発信で立ち上げました。2年前、コロナが始まったぐらいの時期です。

求人活動のひとつの方向として始めたんですね。

当初、メディアの運営自体に求人目的はなかったのですが、やっていく中で、学生さんたちとの接点を持てたらいいなと思い、学生取材を始めました。そして、やっていくうちに求人活動との接点が持てるようになりました。

スタイリスト兼人事、採用担当って珍しくないですか?

そうですね、珍しいかもしれません(笑)。うちの代表から、やってみないかと誘われて始めたのですが。

お客さんを施術しているときとメディアの仕事をしているとき、どちらが楽しいとかありますか?

どちらも楽しいですね(笑)。本業は美容師なのでないがしろにはできません。一方、メディアの取材や執筆も楽しいのでそれぞれ違う魅力がありますね。

実はこのサイトは僕が勝手に始めたんです、会社に黙って(笑)。いろんなことを勝手にやったら、ブランディング的にNGなのかなと思っていたので。でもそのうち、メディアを作っていることが会社にバレまして(笑)。でもこのメディアのことを知った代表は「めっちいいじゃん!」という反応で、会社としてもバックアップすると言ってくれました。すでにメディアも立ち上がっていたので、がっつりと走り出していたのですが、代表からのその言葉があって、さらに振り切ってやれるようになったのです。

【クラタさんのSNS情報など】

・Twitter:https://twitter.com/ojomano_kurata

・Instagram:https://www.instagram.com/ojomano_kurata/?utm_medium=copy_link

・メディア:https://biyo-radio.com/

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