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【知りたい!】~前編~『EPAとDHA』について管理栄養士の先生に聞いてみた◎

執筆者

管理栄養士 大屋佳奈 (おおや かな)

給食管理の仕事を主軸に特定保健指導やレシピ開発、国家試験対策についての情報発信、学生相談、料理教室アシスタント、コラム執筆など多岐にわたり活動中。また、イラストレーター・動画クリエイターとしても活動の幅を広げている。

こんにちは!

さっそくですがこちらをご覧ください。

この音楽、皆さん1度はスーパーの魚売り場で耳にしたことがあるのではないでしょうか?
聞いたことがないという方も、もちろんいらっしゃるかもしれません。
しかし、「魚を食べると頭が良くなるんだよ」というフレーズを両親や祖父母から言われたことがある、または学校やテレビの健康番組など、どこかで聞いたことがあるという方は多いかと思います。

魚を食べるとなぜ頭が良くなるのか。

それは魚に含まれる脂質という栄養素の中のEPAとDHAに秘密があります。

脂質と聞くと、『あまり多く摂取するのはよくない栄養素』というイメージが強い方が多いのではないでしょうか?

なんたって”あぶら”はダイエットの天敵です。

しかし、脂質には大量に摂取すると血液がドロドロになってしまい心疾患などの生活習慣病を引き起こす原因となってしまうものと、健康のために積極的に摂取してもらいたいものと種類が違います。

今回は健康のために積極的に摂取してもらいたい脂質であり、摂取すると頭が良くなるとされているEPAとDHAについてお話したいと思います。

脂質って身体に悪いのでは?

EPAとDHAのお話に入る前に脂質について少しお話したいと思います。

先ほども書いた通り、脂質と聞くと「摂りすぎは太ってしまう」「ダイエットの天敵だ!」というマイナスイメージが強いかと思います。

しかし、実際に食べ過ぎた時、私たちダイエット戦士の大敵である「脂肪」としてダイレクトに身体に蓄えられてしまうのは過剰に摂り過ぎた「糖質」です。

脂質は私たちが生きるために必要最低限のエネルギー代謝である『基礎代謝』を超える量を摂取すれば脂肪として蓄積されますが、摂取したものがすぐにそのまま脂肪になることはほとんどありません。

では、脂質の過剰摂取は何がいけないのか。

それは初めに記述した通り、血液の流れを悪くしてしまったり、血管を固くして動脈硬化や心疾患などの生活習慣病を引き起こしたりする原因となってしまうからです。

脂質という栄養素は、炭水化物・タンパク質と同じ生命維持や身体活動に欠かせない三大栄養素の1つです。
本来適切な量であれば身体にとって必要不可欠な栄養素ということを覚えて頂きたいです。

脂質には主に次のようなはたらきがあります。

・身体のエネルギーの源
・体の機能を整えるホルモンの材料
・油に溶けやすいビタミン(VtA、VtD、VtK、VtE)の吸収サポート
・細胞を包む膜を作る
など

脂質はダイエット中の方には特に敬遠されがちな栄養素ですが、不足してしまうと髪の毛や肌のハリ・ツヤが失われてしまったり、ホルモンをうまく作ることができなくて女性の場合生理不順を起こしたり、健康を害してしまう可能性もあります。

脂質は健康だけではなく、美容のためにも欠かせない栄養素ですので、うまく付き合っていくのが大切です。

身体に良い”あぶら”なんてあるの?

いきなりですが、ここで1つ豆知識をお伝えしたいと思います。

皆さん、【脂(あぶら)】と【油(あぶら)】の違いはご存じですか?

 

答えは、【脂(あぶら):常温で固体のもの】

    【油(あぶら):常温で液体のもの】という違いがあります。

 

ここからはこの『脂』と『油』を頻繁に文章で使っていくので頭の隅に置いておいてくださいね!

前の項目で脂質という栄養素の大切さ・はたらきについて理解を深めていただけたかと思います。
しかし、どの食べ物に含まれている脂質が良いのか・あまり良くないのか見分けが難しいですよね。

そこで、本題に入る前にもう少しだけ脂質についてお話したいと思います。

ここでは摂取する量に気を付けてほしい脂質と、積極的に摂取してほしい脂質についてお話します。

まず、私たちが普段摂取している脂質はその構造で大きく2種類に大別されます。

それが飽和脂肪酸不飽和脂肪酸です。

わかりやすく言い換えると、飽和脂肪酸は常温で固形の脂。
私たちが普段食べている食品で例を挙げるとバターや肉の脂身、ラードなどに含まれる脂質です。

これが摂取する量に気を付けてほしい脂その1です。

飽和脂肪酸は人間の体内で合成できる脂質になるので、食べ物から摂取しすぎると血中のコレステロールや中性脂肪を増やして血液をドロドロにしてしまう原因になります。
進行すると血管が固くなってしまう動脈硬化や心疾患などの危険性が高まるので過剰に摂取しないことが大切です。

不飽和脂肪酸は常温で液体の油。
私たちが普段食べている食品で例を挙げるとサラダ油やオリーブ油、マーガリンなどに含まれる脂質です。後ほどお話するEPAとDHAは青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸の一種です。

不飽和脂肪酸についてもう少し踏み込んだお話をさせてください。
不飽和脂肪酸は大きく分けてオメガ3系オメガ6系オメガ9系の3種類が存在します。

この3種類のうち、
1つが摂取する量に気を付けてほしい不飽和脂肪酸。
2つが摂取すると良い不飽和脂肪酸なのですが、どれがどれだかわかりますか?

正解をお話します。
まずオメガ6系の不飽和脂肪酸は摂取する量に気を付けてほしい油その2です。
私たちが普段食べている食品でオメガ6系を多く含むものはコーン油やマーガリンなどです。
オメガ6系は「必須脂肪酸」と言われ、私たちの体内で合成できない脂質になります。しかし、洋菓子やパンなど何かしらの形で現代の私たちは摂取量が多くなってしまっている油です。
オメガ6系を過剰に摂取してしまうと体内で炎症を起こしたり動脈硬化を促進させてしまったり身体に悪影響を与えてしまいます。

次にオメガ9系の不飽和脂肪酸は摂取すると良い油その1です。
私たちが普段食べている食品でオメガ9系を多く含むものはオリーブオイルやナッツ類などです。
オメガ9系は摂取すると血中の善玉コレステロールはそのままで、悪玉コレステロールを減らす効果があるといわれています。

続いてオメガ3系の不飽和脂肪酸は摂取すると良い油その2です。

オメガ3系も、オメガ6系と同じく身体の中で作ることができないため食品で摂取する必要がある脂質です。
私たちが普段食べている食品でオメガ3系を多く含むものはえごま油やアマニ油、青魚に含まれるEPA・DHAなどです。
【普段食べている食品で】という言い回しをしましたが、この食品のラインナップを見て「普段あまり食べていないなぁ」と感じた方が多いと思います。

その通り。

現代の日本人の”あぶら”摂取量を今まで紹介してきた様々な”あぶら”と比べると、オメガ3系の摂取量だけが極端に少ないのです。

オメガ3系は食事からしか摂取できないのに、現代の日本人の摂取量が一番少ない油なのです。

オメガ3系は摂取すると中性脂肪を減らし、血液をサラサラにしてくれることで動脈硬化や心疾患の予防効果が期待できたり、脳神経を活性化させたり身体に良い様々な効果があるといわれています。

最近では、身体に良いとされるオメガ3系・オメガ9系の油(オリーブオイル、えごま油、アマニ油など)をサラダやお味噌汁、スープといった普段の食事の中に数滴入れて『ちょい足し』するのがトレンドです。

普段私たちの食生活の中で十分に摂取できている飽和脂肪酸やオメガ6系の過剰摂取に気を付けて、普段十分に摂取できていないオメガ3系やオメガ9系を積極的に摂取する。

つまり”あぶら”の摂取バランスを整えることが大切なのです。

脂質や”あぶら”について理解を深めて頂けたところで、次の項目から本題であるオメガ3系のEPA・DHAについてのお話に入りたいと思います。

後編につづく

こちらのコラムを執筆いただきました『絵を描く管理栄養士』として活動中の大屋先生についてはコチラからもご確認いただけます。

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