美容師のみなさんは、理容師美容師国家試験を受験し、美容師免許を取得しています。ところで国家試験とはどのような試験なのでしょうか?受験資格は必要?筆記?実技?合格率は?今回は美容師の国家試験について徹底的に解説していきます。
理容師美容師国家試験を合格するためには
試験内容は大きく分けて2つあります。
「筆記試験」と「実技試験」です。
そのどちらも合格することで美容師免許を取得することができます。試験の日程は、夏と冬に2回あり、美容専門学校に通っている場合は冬に受験し、そこで不合格だった場合は夏に再試験として受験するようになります。
全体の合格率としては、冬は80〜90%、夏は40〜60%ほどです。
(参考:理容師美容師研修センターより http://www.sb.rbc.or.jp/2006/11/post_11.html)
試験内容の難易度は冬も夏も変わりませんが、夏に受ける場合は専門学校を卒業して自分の力のみで学習しているため、合格率が下がっています。この数字を見ると合格率は高く感じるかもしれませんが、専門学生は2年間しっかりと試験対策を行うため、決して簡単な試験内容ではありません、
1、筆記試験とは
美容に関わる様々なことが試験内容となっています。髪の毛の成分や髪型の歴史、カラー剤やパーマ剤の知識といった美容師ならではの問題はもちろん、道具の消毒や感染症の知識のようなお客様の安全に関する問題や、ネイルやまつ毛エクステンションなどの髪の毛以外の美容に関することも勉強します。
過去問が理容師美容師研修センターにあるので、それをもとに専門学校は対策を練っています。美容師さんは感覚だけではなく、理論をしっかりと勉強したうえで施術してくれていることがわかりますね。
2、実技試験とは
下記の技術を時間内に行い、作品を作ります。どれも制限時間がとてもタイトなため、技術力とスピード感が試されます。
・カッティング(カット)
ウィッグ(首から上だけのマネキンのことを指します)を使用して、指定された髪型を作ります。ミリ単位の誤差すらも生まれないよう、極限の緊張感の中でカットを行います。
・ワインディング
ウィッグにロッド(パーマで頭に巻きつける棒みたいなものです)を巻きつけ、指定されたデザインを作ります。美容室でのパーマの施術を思い浮かべていただけると分かりやすいと思います。デザインのバランスやロッド一本一本のクオリティが審査されるので、相当の練習量が必要になります。
・オールウェーブセッティング
ウィッグに髪の毛専用のローションを使用して、頭髪全体がウェーブ状になるように施術する技術のことをオールウェーブセッティングといいます。今の美容室ではあまり使うことのない技術ですが、古くから美容師国家試験内容としており、美容技術のベースとなるものです。
※2020年現在は、上記の中から2つの試験が行われます。「カッティング」は必須の試験になっており、「ワインディング」と「オールウェーブセッティング」のうちどちらか1つが試験内容になります。どちらになるかは「理容師美容師研修センター」が試験の半年ほど前に発表します。
・衛生
実技試験の中で、技術以外にもう一つチェックされることがあります。それがお客様に清潔な環境を提供できているかを判断する、「衛生」です。ウィッグをお客様のように丁寧に扱っているか、道具を清潔に使用しているかを判断され、どんなに実技の試験が上手に行えても、衛生が基準に満たなければ不合格となります。接客業の意識をこの試験や勉強を通して学んでいるんですね。
さいごに
美容師になるためには「知識」「技術」「清潔さ」が必要になります。もちろんこの試験に合格したからといって美容師の皆さんは勉強をやめることはありません。日々新たな知識や技術を取り入れ、お客様に満足していただけるように試行錯誤しています。簡単そうに技術を提供しているように見えるかもしれませんが、その裏側には大きな努力が隠されています。「国家試験はワインディングとオールウェーブのどちらでしたか?」なんて質問すると、面白い昔話が聞けるかもしれません。